AI導入を阻む3つの壁何が企業を悩ませる?

AIの活用が叫ばれ、多数の成功事例が登場している。にもかかわらず自社のAI導入が進展しないのはなぜか。あなたの会社は3つの壁に行き当たっているのかもしれない。

2019年12月16日 08時00分 公開
[Brian ManusamaComputer Weekly]

 Gartnerは、2020年までに世界のCIO(最高情報責任者)の48%が人工知能(AI)を自社に導入すると予測している。だが導入は増加しているものの、障壁も幾つか残っている。今でもAIのメリットとビジネスへの影響に疑問を抱く企業もある。重要なのはAIに可能なことと不可能なことを理解することだ。

 最初に障壁となるのがスキルだ。事業部門とIT部門どちらの責任者も、AIを仕事に利用すると、結果として求められるスキルが変わることを認識している。例えば、AIは人間の放射線科医と同じようにエックス線画像を診断できるようになっている。

 AIによるエックス線画像の診断が研究段階から実用段階へと進化するにつれ、放射線科医は仕事の重点を移さなければならない。例えば、診断と治療についての医師との情報交換、治療、画像を参考にした医療介入、治療と結果について患者と話し合うことなどが中心になるだろう。

 未知に対する恐れによってAIの導入が進まないこともある。Gartnerによる調査「2019 CIO Agenda」(2019年度CIOの課題)によると、回答者の42%が職場にAIを導入するメリットを完全には理解していないという。

 事業部門とIT部門の責任者の大きな課題は、AIを導入するメリットを数値化することだ。収益増加や時間短縮などは明確な数値にできるが、カスタマーエクスペリエンス(CX)などの概念的なものを正確に数値化したり定義したりするのは難しい。

 AIの成功は、目に見えるメリットと見えないメリットの両方を考慮に入れなければ判断できない。2024年までに、AIへの投資の50%が投資対効果を測定するために数値化され、主要業績評価指標(KPI)と関連付けられるようになるだろう。

 AI導入における3つ目の重要な障壁は、データの全スコープ、つまりAIから得られるデータの品質だ。AI戦略の成功には大量のデータが必要だ。そのデータから特定の状況への最善の対応について洞察と情報が引き出される。データが不十分な場合、発生した状況が過去のデータと一致しない場合はAIが不安定になることが分かっている。その状況が複雑なほど、AIが学習した既存のデータと一致する可能性は低くなり、AIの失敗につながることも認識されている。

 ただし、データ量は考慮すべき唯一の要因でも最も重要な要因でもない。多くのユースケースは、データセットの品質が満足できる(多様かつ完全で正規化されている)ものであれば、適切な量のデータを使えば成功を収めることができる。量の不足はプロジェクトの規模を縮小することで補えるが、データの品質不足は必ず概念実証(PoC)の失敗につながるだろう。

 「適切な量のデータ」はAI技術によって異なることを覚えておくことが重要だ。機械学習などの確率的推論技術の場合、推論結果はデータに大きく依存する。そのためデータの品質が最も重大になる。自然言語処理(NLP)システムでも同じことが当てはまる。

 データの品質と完全性以外にも、CIOはデータの持続可能性について理解しなければならない。データのソースは裏付けのないものなのか、体系立てられたものなのか。データが取得されるのは瞬時なのか、日単位なのか、週単位なのか。こうしたことがPoCの潜在的なスケーラビリティにとって重要な検討事項になる。

 AIを導入する企業が増えるにつれ、多くの仕事が生まれるだろう。そうした仕事は2つのカテゴリーに分類される。AIの導入と開発に直接関係する仕事と、AIがもたらす規模拡大によって生まれる仕事だ。

 総合的に見て、AIによって仕事がなくなることはない。AIによって180万の雇用がなくなるとしても、230万の雇用が生み出される。そのため2020年までの雇用にとってAIは良い刺激になるだろう。既存の障壁を乗り越え、AIの導入を成功へと導くのであれば、AIがもたらす機会と課題を認識しておく必要がある。

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