期待値が高いだけではない?
「5G」は従来型WANと何が違うのか? 4つのポイントで比較
5Gは企業のWANが抱える課題を解消できる可能性がある。導入時間やコスト、クラウドサービスへの適合といった課題だ。
通信事業者や専門家が指摘する「5G」(第5世代移動通信システム)が世界にもたらすメリットは、単に携帯電話の通信機能の向上だけにとどまらない。
5Gは企業ネットワークにおけるさまざまなWANの課題を解消できる可能性がある。クラウドやIoT(モノのインターネット)による新たなサービスが企業の間に広がりつつあり、ネットワークに高い性能が求められている。5Gを活用すればそのようなニーズに企業のネットワークを適用させやすくなる。
調査会社Nemertes Research Groupの創業者でCEO(最高経営責任者)を務めるジョナ・ティル・ジョンソン氏は、「5Gは企業のWANに全く新しい状況をもたらす」と話す。同氏は最近のWebセミナーで5Gを取り上げ、企業のWANが抱える課題の解決策としての展望や予想される料金体系などを語った。「5Gのさまざまな特長と料金体系は、WANの観点から見て非常に興味深い」と同氏は指摘する。
5Gサービスで解消できるWANの課題
「MPLS」(マルチプロトコルレベルスイッチング)を基本とする企業の従来型のWANだけでは、現在の企業ネットワークに求められるニーズを満たすことはできない。企業のWANが抱える次の4つの課題に対して、5Gの導入による解決が見込める。
コスト
企業が支払っているWANサービスの料金は、ネットワークの使用状況に関係なく固定されているのが一般的だ。ジョンソン氏は、5Gサービスは企業の既存のWANに組み合わせて利用できるようになる可能性があると予測する。既存のWANに5Gを追加して利用することで、アプリケーションのトラフィックに優先順位を付け、スループット(データ伝送速度)を保証するサービスが可能になるという。データバックアップのようなサービスレベルを保証する必要のないアプリケーションの優先度を下げることで、重要な業務システムのトラフィックに対する干渉を低減できる。
米国における企業向けの5Gサービスの月額基本料金は、600ドル前後になるとジョンソン氏は予測している。この基本料金は、ユーザーとサービス提供事業者が契約したネットワーク容量とスループットを保証する。これまでのWANサービスと異なり、5Gサービスは、契約外の追加的なトラフィックでも、サービスレベルを下げてことで伝送できるようになるという。
「各通信事業者に聞いた話を基にすれば、5Gサービスの基本料金は、600ドルが妥当な数字だろう。ただ契約する帯域幅にも依存する」とジョンソン氏は語る。
導入時間
MPLSや広域イーサネットといったWANサービスを導入する場合、利用開始までに数日を要することは珍しくない。5Gサービスは、導入の時間が大幅に短縮し、ほとんど瞬時に回線が開通して利用可能になるとジョンソン氏は予測する。「5Gサービスの提供エリアであれば、サービスの申し込みから何時間、何日も待つ必要はない。おそらく分単位で利用できるようになるだろう」
パフォーマンス
従来のWANのパフォーマンスには一貫性と信頼性があるため、5Gへ移行するのをためらう企業もあるだろう。だがジョンソン氏は、5Gサービスは従来のWANに同等かそれ以上のパフォーマンスを実現するだろうと指摘する。5Gは、送信側と受信側で複数のアンテナを同時に使う「MIMO」(Multiple Input Multiple Output)や、複数の周波数帯の電波を束ねてデータ伝送するキャリアアグリゲーションといったさまざまな技術を採用するからだ。
地理的な制約
従来のWANは物理的な回線が必要なため、使用場所が限定される。この特性は、企業の間で利用が広がっているクラウドサービスやIoTサービスには十分に適合しない。新しい支店にネットワークを迅速に拡大することも難しい。「これからのWANに求められるのは、地理的要件に動的かつ迅速に応えることだ。その点で5Gは役立つ」(ジョンソン氏)
5Gサービスであれば、データセンターであれクラウド環境であれ、どこからでも、どこにでも接続できる。遠隔地の拠点にも容易に導入でき、拠点間のネットワークを迅速に構築することが可能になる。
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