ワイン醸造所がオンプレミス回帰でストレージも刷新 譲れなかった条件とは?ワイン醸造業者が出した答え【後編】

ワイナリーのPalmaz Vineyardsは、いったんオンプレミスからパブリッククラウドに移したワイン発酵プロセス監視システムのインフラを、オンプレミスに戻した。ただし単純に以前と同じ構成に戻したわけではなかった。

2020年01月17日 05時00分 公開
[Johnny YuTechTarget]

 米国のワイナリー(ワイン醸造所)Palmaz Vineyardsは、「TensorFlow」などのオープンソースの機械学習ライブラリを利用して、ワインの発酵プロセスを監視するシステム「FILCS」(Fermentation Intelligence Logic Control System)を独自に開発した。同ワイナリーは当初、PROMISE Technology製のストレージシステムを使って、オンプレミスでFILCSのインフラを構築していた。FILCSが生み出すデータ量が膨大だったため、拡張性のあるパブリッククラウドへの移行を進めたが、高額なコストとネットワークの遅延が問題になった。そこでインフラをクラウドからオンプレミスに戻すことにした。

 Palmaz VineyardsのCEO(最高経営責任者)を務めるクリスティアン・ガストン・パルマス氏は、オンプレミスにインフラを戻すに当たって、ある問題に直面した。オンプレミスに導入していたPROMISE Technologiesのストレージシステムが、データのバックアップを効率的に取得する機能を搭載していなかったことだ。「ストレージシステムを導入する際は、この点が重要だとは思わなかった」(パルマス氏)。

 PROMISE Technologiesのストレージシステムは、ディスクの冗長性を確保するRAID(Redundant Array of Independent Disk)を構成するための機能は備えていた。だがバックアップ取得に活用できるデータのレプリケーション(複製)機能は搭載していなかった。パルマス氏は再びストレージシステムを調査し、NetApp、QNAP Systems、Synologyの製品を検討した後、NAS(ネットワーク接続ストレージ)としてSynologyの高負荷環境向けオールフラッシュストレージシステム「FlashStation」(FS)シリーズを2台と、中規模環境向けラックマウント型ストレージシステム「RackStation」(RS)シリーズを3台購入した。

 Palmaz Vineyardsは自らの主要データセンターにFSシリーズ、データのアーカイブ用の拠点にRSシリーズを導入した。両拠点の接続にはダークファイバー(通信事業者が敷設した光ファイバーのうち、未使用のもの)を使用した。FSシリーズに格納するデータのバックアップにSynologyのバックアップソフトウェアを導入し、RSシリーズのバックアップにはVeeam Softwareのバックアップソフトウェアを導入した。

IOPS性能だけじゃない、ストレージシステム選定の決め手は

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