「5G」の性能を“前評判”通りに信じてはいけない納得の理由「5G」の期待と現実【後編】

「5G」は「4G」と大きく違うが、しばらくはその違いを実感できない可能性がある。両者の違いと、企業が知っておくべき“現実”を解説する。

2020年01月21日 05時00分 公開
[Michaela GossTechTarget]

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ギガビット | ネットワーク


 「4G」(第4世代移動体通信システム)と「5G」(第5世代移動体通信システム)の最大の違いはレイテンシ(遅延)だ。5Gの遅延時間は1ミリ秒未満を目標に設定されており、4Gと比較すると少なくとも10分の1以下まで低減する。

 5Gはファイルのダウンロード速度を大幅に向上させる仕組みを備えている点も特徴だ。これはデータを複数の搬送波(サブキャリア)に分割して伝送する「直交周波数分割多重」(OFDM:Orthogonal Frequency Division Multiplexing)の採用によって実現している。

 信号の伝送に必要な基地局の設計も異なる。4Gはそれ以前の規格と同様の基地局で信号を伝送する。5Gはミリ波の周波数帯を使用するため、4G以前とは異なる基地局の設計が必要だ。ミリ波は電波の直進性が高く、広い範囲へは電波が届きくいため、電波を必要なエリアまで到達させるためにスモールセル(小型基地局)を使用する場合がある。5Gサービスを提供する事業者は、従来の大型の基地局に加えて、スモールセルを数多く設置しなければならない可能性がある。

 スモールセルを採用することで、5Gはセル密度(1つの基地局に収容するデバイス数)を高め、ネットワーク容量を拡大できる。セル密度を高めることは4Gの目標でもあった。5Gは4Gでは達成できなかったレベルのセル密度を目指している。

 こうした特徴を持つ5Gに期待が集まるのは当然だが、ネットワークエンジニアのリー・バッドマン氏は「サービス開始当初から5Gの目標が全て実現するわけではなく、しばらく待つことになるだろう」と忠告する。通信事業者が5Gの目標を実現するために必要な課題を解消するまでに時間がかかると考えられるからだ。5Gの最大限の性能をすぐに利用できると期待すべきではない。

5Gの「期待と現実」

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