Windows Virtual Desktopではなく「デジタルワークスペース」がVDI市場の主役?専門家が占う2020年VDI市場【後編】

2020年、VDI(仮想デスクトップインフラ)市場はどのように変化するのか。2019年の出来事を基に、専門家が予測するのは「デジタルワークスペース」や「セキュリティ」に関する動きの活発化だ。その理由とは。

2020年04月09日 10時00分 公開
[Erica MixonTechTarget]

 2019年、「VDI」(仮想デスクトップインフラ)市場はさまざまな変化に見舞われた。VDI製品の機能をクラウドサービスとして利用できる「DaaS」(Desktop as a Service)の充実や、デバイスを問わずにアプリケーションやデータを利用できるようにする「デジタルワークスペース」への注目度の高まりなどだ。専門家は「VDIにとっての2020年は引き続き変化と進化の1年になる」と予測する。DaaSとデジタルワークスペースの導入が継続し、とりわけセキュリティへの関心が高まるという。

 2020年もVDIが変化をもたらすことは間違いない。前編「『Windows Virtual Desktop』と『Linux仮想デスクトップ』がVDIの“主役”になる?」に続き、専門家の予測を見ていこう。

Azureとセキュリティが鍵に

マリウス・サンドブ氏(ITコンサルティングを手掛けるEVRYのチーフクラウドエバンジェリスト) VDI業界に影響を及ぼす可能性のある最も大きな最近の変化の一つは、MicrosoftのDaaS「Windows Virtual Desktop」により、パブリッククラウド「Microsoft Azure」でマルチユーザー版「Windows 10」が利用できるようになったことだ。特にMicrosoft製品との相乗効果で、Azureを使用するVDIユーザー企業が増えるだろう。多くのアプリケーションベンダーは、自社アプリケーションをマルチユーザー版Windows 10で実行可能にするための調整をせざるを得ない。

 多くのクラウドベンダーが安価なインフラを提供して、各種GPU(グラフィック処理プロセッサ)を利用できるようにしている。VMwareやCitrix SystemsといったVDIベンダーも、Azureの導入増加を見越して、マルチユーザー版Windows 10を使用して各社独自のサービスを構築している。

 もう一つはセキュリティだ。VDI製品経由でレガシーアプリケーションを利用するSaaSを使用するユーザーが増えるにつれて、セキュリティを維持するのが困難になる。VDIベンダーの中には、セキュリティ製品を自社開発したり、他社のセキュリティ製品を買収して自社のVDI製品に組み込んだりするところもある。多くのユーザー企業にとって、VDI製品はアプリケーションとデータへのメインゲートウェイになるため、VDI製品のセキュリティが強化されることは非常に重要だ。

デジタルワークスペースにおける競争がさらに激化

会員登録(無料)が必要です

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 SB C&S株式会社

仮想化環境のモダナイゼーションを加速させる、新しい運用管理方法とは?

さまざまなメリットをもたらす仮想化環境だが、2023年にVMwareが買収されたことで、ユーザー企業は難しい判断を強いられている。そこで、コストメリットも大きい、仮想化環境のモダナイゼーションの方法について解説する。

事例 INFINIDAT JAPAN合同会社

データ利活用基盤を強化:NTTコミュニケーションズのストレージ導入事例

データ分析・利活用のニーズが高まる中、アクションのベースとなるデータも膨大な容量となり、今後も増え続けていく見通しだ。そうなると、各企業はデータ利活用基盤として、信頼性や拡張性の高いストレージを求めるようになるだろう。

製品資料 横河レンタ・リース株式会社

Windows 11への刷新はデータ移行が重荷、作業負荷を大幅に軽減する方法とは?

OSの移行には「データ移行」が付き物だが、その業務負荷の高さに悩まされているIT管理者は多いだろう。Windows 11への移行を進める前に知っておきたい、「データレスPC」の有効性や、導入で得られる“プラスα”のメリットを解説する。

事例 ニュータニックス・ジャパン合同会社

サーバ250台の移行事例、東海理化が仮想環境を刷新した理由とその効果とは?

技術や市場の変化が激しい自動車業界にあって、長年、数多くの自動車メーカーに部品を供給してきた東海理化。同社は変化に柔軟に対応するためのDX推進に当たって、これまで運用してきたレガシー仮想環境からの移行を断行する。

製品レビュー ニュータニックス・ジャパン合同会社

クラウド同士の連携と運用の課題解消、WebスケールITの基準を採用した基盤とは

ハイブリッド/マルチクラウドへ移行する企業のIT環境だが、クラウド同士の連携は複雑な上に、運用も非効率になりがちだ。そこで、この問題を解消するためのハイブリッド/マルチクラウドプラットフォームを紹介する。

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news026.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news130.jpg

Cookieを超える「マルチリターゲティング」 広告効果に及ぼす影響は?
Cookieレスの課題解決の鍵となる「マルチリターゲティング」を題材に、AI技術によるROI向...