企業が新型コロナウイルス感染防止と経済活動を両立させる動きを本格化させる中、職場に人が戻り始めている。職場で新型コロナウイルス感染者との接触を追跡する製品も充実し始めた。どのようなものがあるのか。
ベンダー各社が企業向けに、従業員が職場で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染者と接触した可能性を追跡する技術を提供し始めている。追跡手法はさまざまだ。感染リスクを素早く検出するために、普段からビジネスで利用しているデータを使うベンダーもある。
職場向けの接触追跡手法の開発思想には、公衆衛生機関が提供するスマートフォン用の接触追跡アプリケーション(国内では厚生労働省が「新型コロナウイルス接触確認アプリ」の名称で提供)への反発も含まれている。スマートフォンを使った接触追跡にはプライバシーの問題が指摘されており、従業員が自分のスマートフォンに接触追跡アプリケーションをインストールすることを嫌がる恐れがある。職場向けの接触追跡製品を開発したベンダーは、自社製品にはその心配がないと主張する。
職場の無線LANやタイムレコーダーの打刻データ、分析技術などをうまく利用すれば、接触追跡を実現できる可能性がある。Kronosが提供する接触追跡アプリケーションは、同社のタイムレコーダーシステムの打刻データを利用する。同社の接触追跡アプリケーションは、従業員が職場内を移動するときに、さまざまな場所でタイムスタンプを記録する。例えば従業員が荷受場から移動して、別の場所で作業することが頻繁に発生する企業の場合は、このタイムスタンプは誰がどこで作業したかの記録になる。
従業員は毎日同じ場所で、同じ人と仕事をすることが一般的だ。そのためタイムレコーダーシステムの打刻データは接触追跡に役立つと、Kronosのインダストリー部門担当バイスプレジデントのグレッグ・ゴードン氏は語る。例えば製造業の従業員が機械を操作するときに入力するIDなど、他のデータで打刻データを補強することもできる。
Kronosが採用した接触追跡の方式は、スマートフォンを使った方式と違い、接触追跡を完全に自動化することはできず、従業員が誰かと接触した距離や時間を厳密に記録することもできない。データを補うために、人材管理部門が従業員に聞き取り調査をする必要が生じる可能性がある。細かいデータを記録できない接触追跡アプリケーションを使う場合は、人材管理部門が複数のデータベースを調べて従業員に確認する必要がある。
後編はウェアラブルデバイスや位置情報を用いた、職場向けの接触追跡手法を紹介する。
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