Microsoftの「SharePoint Server 2016」のサポート終了に伴い、ユーザー企業は「SharePoint Server 2019」または「SharePoint Online」への移行を検討する必要がある。どちらに移行すべきか。
Microsoftは2021年7月に、同社のエンタープライズコンテンツ管理(ECM)製品「SharePoint Server 2016」のセキュリティ更新プログラムの提供や仕様変更などのメインストリームサポートを終了する。現在SharePoint Server 2016を使用している企業は、後継製品である「SharePoint Server 2019」またはクラウドサービス版の「SharePoint Online」のどちらに移行するかを決定する必要がある。
SharePoint Server 2016のユーザー企業は一般的に、オンプレミスシステムとクラウドサービスを使い分けている。こうしたハイブリッド環境が必要となる背景には通常、解決が困難な2つの課題がある。1つ目は、オンプレミスのコンテンツが、移行するにはあまりにも独自性が強過ぎること。2つ目は、カスタマイズした部分が移行時に正しく反映されないことだ。これらの課題が残り続ける限り、ユーザー企業はハイブリッド環境にとどまることになる。
そうだとしても、移行先の機能を確認しておく必要はある。SharePoint Server 2019とSharePoint Onlineの機能を比較すると、共通点には次のようなものがある。
SharePoint Onlineはこれらに加え、サブスクリプション形式のオフィススイート「Microsoft 365」の各製品・サービスとの緊密な連携が可能だ。SharePoint Onlineはクラウドサービスという性質上、ユーザー企業に対して、システムをホスティングする物理サーバへのフルアクセスを許可していない。そのため当然ながらSharePoint Server 2019の方がより多くの管理制御機能を提供する。SharePoint Server 2019は、MicrosoftのWebサーバ「Internet Information Services」(IIS)の管理・連携用のAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)や問題解決機能「SharePoint Health Analyzer」などを強化している。一方SharePoint Onlineの管理機能は全体的に少なく、Microsoft 365の管理機能とほぼ同等のため使いやすい。
ユーザー企業がSharePoint Server 2019に移行するか、SharePoint Onlineに移行するかを決定する際は、移行の障壁や機能の違いを考慮する必要がある。別の重要な視点は、SharePoint Server 2019以降がどうなるかだ。Microsoftは、SharePoint Server 2019のメインストリームサポートを5年間提供し、その後さらに延長サポートを2年間提供する。
Microsoftは最終的には、収益性が低くサポートが困難な多くのオンプレミスシステムを可能な限り廃止したいと考えているはずだ。そのためユーザー企業に、SharePoint Onlineなどのクラウドサービスへの移行を促す可能性がある。
将来的にクラウドサービスへの完全移行を見据えつつも、現時点で移行できないデータやカスタムサイトがある企業にとって、SharePoint Server 2019への移行は問題解決の準備時間を稼ぐ手段になる。多少のリスクを容認できるのであれば、2021年中にクラウドサービスへの移行を達成することを目標にするのも手だろう。
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