ウェアラブルデバイスを利用する新型コロナ「接触確認」製品とは?多様化する「接触追跡」技術【後編】

新型コロナウイルス感染者との接触追跡を実現する手段はさまざまだ。ベンダー各社はプライバシーに配慮し、インストールの手間を省いた職場向け接触追跡製品を開発している。どのような手段があるのか。

2020年08月13日 05時00分 公開
[Patrick ThibodeauTechTarget]

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 職場で新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染者と接触した可能性を追跡する、職場向けの接触追跡製品が登場し始めている。接触追跡に利用する手法はさまざまだ。中にはウェアラブルデバイスを使う手法もある。

身に着けるだけで接触追跡

 Bluetoothを使った紛失防止製品を製造するオーストラリアのベンダーMaxwell Forest(「Safedome」の名称で事業展開)は、Bluetoothを利用したカード型接触追跡ウェアラブルデバイス「Contact Harald」を販売している。従業員が職場で首から提げる、入退室用カードキーに似た形状の製品だ。

 Contact Haraldを身に着けている従業員同士が1.8メートル未満の距離に2分以上近づくと、それぞれのContact Haraldが接触状況と時刻を記録する。データの保持期間は20日で、接触追跡の目的でダウンロードする必要が生じない限り使用できない。Safedomeの戦略・製品責任者であるスティーブ・ローダー氏は「従業員は何もする必要がなく、カードを身に着けているだけでいい」と語る。

 GPS(全地球測位システム)を使用せず、従業員の位置情報を記録しないのもContact Haraldの特徴だ。従業員の位置情報を知るためには、本人に直接確認する必要がある。「位置情報追跡に不安を感じる人が非常に多かったため、その機能は搭載しなかった」とローダー氏は説明する。

屋内位置情報システムや既存のデータソースを利用

 既存の屋内位置情報システムを利用する接触追跡手法もある。Inpixonは、人や物の追跡に使用可能な屋内測位技術を利用した、接触追跡アプリケーションを提供している。

 「技術を使わなければ人の記憶に頼るしかない」と、InpixonのCEO、ナディール・アリ氏は語る。ただし「記憶に頼るだけでは、近くに誰がいたか気付かなかったり、覚えていなかったりすることもあり、不完全な情報しか得られない」とアリ氏は指摘する。

 既存のデータソースを接触追跡に利用する手法を採用するのがSAS Instituteだ。人事部門が持っているデータ、建物や社員食堂への入退出データ、生産ラインの作業者データなど、各種データソースのデータを利用する。こうしたデータを組み合わせることで「誰と誰が接触し、職場のどこに誰がいたかなど、かなり多くのことを把握できる」と、同社の行政・医療・公共事業関連責任者のショーン・バリー氏は説明する。

 SAS Instituteは、各種疾病を対象にデータ収集と感染リスクをスコアリングする接触追跡製品も提供している。迅速な接触追跡の要点は「スピードが命を救う」ことだとバリー氏は語る。

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