新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに、企業の間で急速に広がったのがテレワークだ。企業はテレワークのためにどのようなIT製品を利用し、どのような課題に直面したのか。読者調査結果を基に紹介する。
厚生労働省が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)患者の国内初の死亡例を発表し、国内でもCOVID-19の影響が広く意識され始めたのが2020年2月だ。その約半年後に当たる同年7月15日から8月13日にかけて、TechTargetジャパンはテレワーク関連の読者調査を実施した。COVID-19の拡大に伴い、さまざまな企業が在宅勤務をはじめとするテレワークの本格的な採用に踏み切った。こうした変化は、企業活動を支えるITにも影響をもたらした。読者調査結果を基に、これらを振り返る。
目的:TechTargetジャパン会員でIT製品・サービスの導入に関与する方を対象に、テレワークの実施状況について調査するため
方法:Webによるアンケート
調査対象:TechTargetジャパン会員
調査期間:2020年7月15日〜8月13日
総回答数:259件
※各回答の割合(百分率)は小数点第2位を四捨五入して表示しているため、割合の合計が100%にならない場合があります。
2020年2月以前のテレワーク実施状況について「全社的に実施していた」と回答した会員は35.5%だった。2020年2月以前にテレワークを「一部の部門で実施」していたのは24.7%、「特定の条件に該当する従業員のみ実施」と答えた回答者は13.5%だった。
回答時点である2020年7月〜8月の時点でテレワークを「全社的に実施している」と答えた会員は50.2%に増加した。「一部の部門で実施」は22.8%、「特定の条件に該当する従業員のみ実施」は11.6%に減少しており、部分的なテレワークから全社的なテレワークに移行する傾向があったと考えられる。
テレワークを実施していると答えた回答者に、テレワークに利用しているIT製品/技術を聞くと「Web会議」の利用率が87.2%と最も高かった(図1)。「ビジネスチャット」(47.0%)や「オンラインストレージ」(35.2%)も含めて、コミュニケーションやファイル共有をするための製品利用が目立つ。Web会議に次いで利用率が高かったのは、VPN(仮想プライベートネットワーク)などの「通信路暗号化」(63.0%)だ。多要素認証やシングルサインオン(SSO)などを実現する「各種認証」(44.8%)を含めて、ネットワークとシステムのセキュリティ技術は安全なテレワークの実現には不可欠だが、導入が十分に進んでいるわけではない。
Web会議を利用していると答えた回答者に、利用しているWeb会議ツールについて聞くと、Microsoftの「Microsoft Teams」の利用率が60.7%と最も多かった。Zoom Video Communicationsの「Zoom」は51.3%、Cisco Systemsの「Cisco Webex Meetings」は19.9%、Googleの「Google Meet」は14.7%だった。
テレワーク実施中と答えた回答者の29.7%が、DaaS(Desktop as a Service)やVDI(仮想デスクトップインフラ)などのデスクトップ仮想化技術を利用していた。そのうち「VMware Horizon」の利用者は40.0%と最も多く、Citrix Systemsのアプリケーション仮想化/デスクトップ仮想化製品「Citrix Virtual Apps and Desktops」とMicrosoftのDaaS「Windows Virtual Desktop」を利用する回答者はそれぞれ18.5%だった。
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