コロナワクチン配布に学ぶ「5つの教訓」【中編】
「温度監視」「需給調整」にも注目 米国に学ぶ新型コロナワクチン配布の知恵
新型コロナワクチンの品質を保つためには厳格な温度管理が欠かせない。リアルタイムで温度を監視したり、医療現場への配送をトラッキングしたりといった取り組みから学べるサプライチェーン管理の教訓とは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のワクチン接種が世界各国で進んでいる。ワクチン配布の大規模なサプライチェーンには、企業が学べることは豊富にある。サプライチェーンの各部分の密な連携や情報共有などにフォーカスした前編「未曾有のコロナワクチン配布プロジェクトから見えた『適切な情報共有』の本質は」に続き、中編となる本稿は、ワクチンの温度監視や需給調整にまつわる取り組みから得られた知見や教訓を紹介する。
リアルタイムのモニタリングを活用する
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最新技術でサプライチェーンは進化する
新型コロナワクチン接種について詳しく
新型コロナワクチンには厳格な温度管理基準が設けられている。その基準を守るために、コールドチェーン(生鮮食品や医薬品を低温に保つ物流方式)で輸送中のワクチンや保管中のワクチンの状況をほぼリアルタイムでモニタリングする必要がある。
ITサービス企業Tata Consultancy Servicesでサプライチェーン改革のグローバルプラクティスリーダーを務めるマット・レクストゥティス氏は、新型コロナワクチンの管理には細かいレベルで温度を監視できるRFIDセンサーのようなIoT(モノのインターネット)技術が有効だという。
こうした技術があればモニタリングの精度を高めたり、データ連携を進めてコールドチェーンの運用を下支えしたりすることも可能になる。ワクチンの安全性を保つためには、在庫を連続的に動かす必要がある。在庫の動きを高精度にトラッキングできるなら、製品が許容範囲を超えそうになったときに検知し、出荷時や保管時に、または車両の遅延や故障が発生したときに是正措置を取るよう担当者に警告できるようになる。ただしサプライチェーンの複雑さを考慮すると、常に可能というわけでもなく、完璧なものでもない。
レクストゥティス氏は「隙間なく温度をほぼリアルタイムでモニタリングすることは、多くの場合はまだできない」と述べる。
完璧ではないとはいえ、企業は新型コロナワクチンのサプライチェーンに活用されているセンサー技術や高度なAI(人工知能)技術を使い、温度や出荷状況、待機時間などを監視したり、トレーサビリティーを高めたりするのに役立つ。検討する価値は十分にあるだろう。
需給調整のデューデリジェンス(適正評価)に力を入れる
新型コロナワクチンの配布においては需要と供給のバランス調整も重要だということが浮き彫りになった。なぜなら医療従事者は、ワクチンが劣化して使用不能になった場合や、そのタイミングで接種希望者が十分にそろっていない場合には、ワクチンを廃棄しなければならないからだ。
レクストゥティス氏は「こうした事実は、在庫と需要を正確に一致させるためには、AI技術や追跡技術の導入を増やすことの重要性を示唆している」と指摘する。このような「需要の可視化」は、生鮮品を扱う企業にとっても重要だ。
新型コロナワクチン配布の教訓から学べることは、サプライチェーンの効率化のために出荷と追跡をどのように改善するかだ。例えば、近ごろのトラッキングデバイスは単にバーコードをスキャンするだけではなく、温度を測定したり、目的地までの時間などのメタデータを獲得したり、中央のデータセンターと通信したりするようになっている。
後編は、加工や流通過程の管理に関するポイントに焦点を当てる。
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