テニス界のデータ活用【後編】
「世界的テニスプレイヤー」兼「経営者」の流儀 勝ちをつかむデータの力とは?
テニスのグランドスラムで7度優勝のビーナス・ウィリアムズ選手は、自分のファッションブランドを持つ一人の経営者でもある。アナリティクスの愛好家としても知られる彼女は、なぜデータの力を信じるのか。
アナリティクスは、ビーナス・ウィリアムズ選手がポイントのコントロールを試みる際の判断を助ける。ウィリアムズ選手は2021年のオフシーズンに、サーブ(始球)後の最初のショット(打球)を分析してきたという。「さまざまなデータポイントがあるおかげで、コートですべきことに集中できる」と同選手は語る。
十分な分析の末に試合に出場し、他のプレイヤーと相対すると「事前にこれから起きることを知っているような気分になる」とウィリアムズ選手は説明する。「そのことでさらに試合を有利に戦えるのは間違いない」
「データの有無が勝敗を分ける」のはなぜなのか
データという武器は、才能にほとんど差がないトップテニスプレイヤー同士の戦いの場で「大きな違いを生む可能性がある」とウィリアムズ選手は説明する。
各プレイヤーに、ほんのわずかな優位性が加わるかどうかで、チャンピオンシップ優勝の明暗が分かれる可能性がある。分析データがあれば、マッチポイント(あと1点で試合の勝敗が決まる場面)になったとき対戦相手が好むサーブが分かる。「それが決定的な差になる」(同選手)
ウィリアムズ選手はアナリティクスに信頼を置き、コートでの意思決定にデータを使用する。だが、それは何も特別なことではない。データはWTA(女子テニス協会)ツアーとATP(プロテニス選手協会)ツアーに参加する選手であれば誰でも使用できる。
WTAは2019年に、パートナーであるSAPが提供する「Patterns of Play」というソフトウェアを導入した。これは、テニスプレイヤーとコーチ向けのツールで、ラリー(ボールの打ち合い)の開始時のみならず、さまざまな状況全体においてプレイヤーがどのようなショットをしたかを追跡できる。一方ATP(男子プロテニス運営団体)は、アナリティクスのニーズのためにInfosysと提携している。
使用可能なデータリソース全てを利用するかどうかはプレイヤー次第だ。アナリティクスに多額の投資をするプレイヤーもいれば、そうでないプレイヤーもいる。ウィリアムズ選手によると、アナリティクスのために、チームに分析担当者を雇っているプレイヤーもいる。「あまり多くはない」(同選手)が、他のプレイヤーのデータ分析を専門とする担当者を擁するプレイヤーもいるという。
ウィリアムズ選手は、アナリティクスの活用が試合を有利に進める可能性があることを心から信じている。同時に、重要な決断を下す際に企業がより多くの情報を得られるようにする力が、データにあることも確信している。
現在もウィリアムズ選手は第一線のテニスプレイヤーでありながら、自身のインテリアデザイン会社V StarrのCEOでもあり、また自身のファッションブランドとしてEleVenも所有している。そして妹のセリーナ・ウィリアムズ選手は、プロアメリカンフットボールNFL(ナショナルフットボールリーグ)のチーム、Miami Dolphinsのオーナーの1人でもある。
「知識や情報は力だ。量が多ければ多いほど知っていることが増える。データの力を借りてできることはとても多い」(ウィリアムズ選手)
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
事例
[サイボウズ株式会社] DXに必要な「Dスキル」「Xスキル」を持った人材を育成するには? -
市場調査・トレンド
[サイボウズ株式会社] データで見る、DXが「順調に進む企業」と「つまずく企業」の違い -
製品資料
[サイボウズ株式会社] 賛否が割れがちな「Notesからの移行」 新環境への移行を納得してもらうには? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] 農林中金に学ぶ内製開発 処理効率を約2倍に高めAI活用も加速させた方法とは? -
事例
[ServiceNow Japan合同会社] NTTグループのデジタル変革術、17万人が利用する決裁プロセス刷新の全貌
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
【基本情報技術者試験】「デュプレックスシステム」と「デュアルシステム」の違いは?
-
2
kintoneで実践 製造業のための「見積もり管理」改善のヒント
-
3
「Microsoft一択」で本当にいいのか 知らぬ間にライセンス費用が膨らむ真相
-
4
サーバ約70台をAWSへ ヤナセが移行前にやった「通信要件の可視化」
-
5
100億円の「Linux更新」を回避 みずほ銀行が選んだ“おきて破り”のRHEL延命策
-
6
MS月例パッチが1000件突破 人手不足の情シスを襲う「月1回メンテ」の崩壊
-
7
脱VMwareの真実:データセンター大手がNutanixを選んだ「コスト以上の理由」
-
8
「データストレージの活用方法」に関するアンケート
-
9
「AI活用」を掲げた年金刷新が炎上 英政府が大手ITアウトソースを切り捨て「内製回帰」した理由
-
10
「VMware離れ」は本当か 3000社がVCF 9にかじを切った現実的な理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
生成AIのハルシネーションを防止 回答精度を高めるセマンティックレイヤーとは
-
2
AIエージェントで多様な日常業務を効率化するための入門ガイド
-
3
5回聞くだけじゃ足りない? トヨタ式「なぜなぜ分析」の正しい実践方法
-
4
AIが「わざわざ使うツール」になっていない? 業務で自然に使う導線にする秘訣
-
5
JR西日本ITソリューションズが「監視業務の属人化」を解消した方法とは?
-
6
「脱Excel」か「Excel快適化」か? 現場にやさしい業務改善の進め方
-
7
インシデント対応工数を約3割削減、東京ガスの事例に学ぶ監視体制刷新のコツ
-
8
マンガで解説:「ゼロトラスト」「SASE」の必要性とメリット
-
9
5分で分かる「セキュア大容量ファイル転送サービス」の機能とメリット
-
10
情報セキュリティ対策早分かりガイド:25の自社診断で弱点と解決策を理解
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー