Oracleが「1コア1時間1セント」のArmインスタンス提供開始Armがクラウドも席巻するか?

Oracle Cloud Infrastructureに1コア1時間1セントのArmインスタンスが追加された。クラウドでもArmアーキテクチャが勢力を拡大するのか。

2021年07月21日 08時00分 公開
[Aaron TanComputer Weekly]

 Oracleは「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)でArmベースのコンピューティングサービス「OCI Ampere A1 Compute」を開始した。Moor Insights & Strategy(MI&S)によるとこのサービスはAmpere Computingの「Altra」プロセッサを搭載したインスタンスを1コア1時間1セントで提供するという。

 Armアーキテクチャの効率、スケーラビリティ、柔軟性はIoT(モノのインターネット)機器からサーバやスーパーコンピュータまで、多種多様なワークロードに適している。

会員登録(無料)が必要です

 Oracleのクリス・シェリア氏(アジア太平洋地域の技術および顧客戦略部門のシニアバイスプレジデント)は次のように話す。「特にアジア太平洋地域では、運用の改善と顧客への新しいエクスペリエンス提供を目指して最先端のアプリケーション、リアルタイム分析、IoTが多数展開されている。これらはまさにArmアーキテクチャが提供するものであり、アジア太平洋地域での普及が急速に進むと予想している」

 IDCのクバ・ストラルスキ氏(インフラのシステム、プラットフォーム、技術グループのリサーチディレクター)によると、OCI Ampere A1 Computeはエントリーコストが低く、デプロイサイズが可変でパブリッククラウドにもオンプレミスの「Oracle Cloud@Customer」にもデプロイできる。インスタンスは長期的なスケーラビリティと短期のアクセシビリティーを組み合わせて最適なサービスを提供するという。

 「Armエコシステムの発展に伴いデプロイやユースケースも拡大する。Armベースのインフラのさらなる採用も可能になる」と同氏は補足する。

 MI&SによるとOCI Ampere A1 Computeは、分離、可視性、完全な制御を必要とするワークロードや機械学習の推論といったパフォーマンスが重要なワークロードを実行するベアメタルサーバに適しているという。

 OCI Ampere A1 Computeが他と一線を画する要素として、MI&Sは低価格とサービスのオープン性だけでなく特定のニーズに合わせて仮想化環境を形成する機能を挙げている。この機能は1~80のコアと最大512GBのDDR4メモリで構成され、使用したリソースに課金される従量制で利用できる。

 「ピーク時の使用量を基準にサイジングし、そのサイズのインスタンス料金を支払う通常のモデルとは対照的な考え方だ。このモデルでは、未使用のコンピューティング容量が残っていても最初にサイジングした料金を支払う必要がある」と同氏は補足する。

 技術コンサルタント企業は、Oracleが次世代クラウドにArmを採用したことは、エンタープライズ市場におけるArmの有効性を物語っていると指摘する。

 「プロプライエタリのハードウェアでプロプライエタリのソフトウェアスタックを実行し、時間の経過とともにコストと複雑さが増していく時代は過去のものとなった」

 Armベースのコンピューティングインスタンスを提供するクラウドサプライヤーはOracleだけではない。Amazon Web Services、Microsoft、Alibaba Cloudも同様の動きを見せ、Armベースのコンピューティングサービスを提供、または提供を予定している。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

新着ホワイトペーパー

製品資料 株式会社ラクーンフィナンシャル

与信審査から督促まで代行、請求書払いの問題を解消する決済代行サービスの実力

B2B取引の決済手段として多くの企業が採用している請求書払い(後払い)だが、入金遅延や未払いが発生するリスクもある。そこで、これらのリスクと業務負担を解消する決済代行サービスが登場した。本資料で詳しく紹介する。

事例 株式会社ラクーンフィナンシャル

クレカ払いだけでは顧客を取りこぼす? Chatworkなどに学ぶ決済手段改善の方法

SaaSの決済手段ではクレジットカード払いを設定するのが一般的だが、B2B取引においてはそれだけだと新規顧客を取りこぼすこともある。Chatworkやココナラなどの事例を交え、決済手段を多様化する重要性と、その実践方法を解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

複雑化するIT管理をどう効率化する? 分散環境で堅固なリモート管理を行う方法

ハイブリッドクラウドやエッジコンピューティングの普及に伴い、企業が管理すべきIT資源が急増している。こうした中で注目を集めるのが、あるクラウドサービスだ。分散環境における課題とその解決策について、導入事例とともに解説する。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

運用負荷やコストが増大、複数世代にわたるIT環境のモダン化をどう進める?

AI活用やデータドリブン経営が加速する一方で、レガシーインフラが問題になるケースが増えている。特に複数の世代にわたってIT資産が混在しているインフラ環境では、運用負荷やコストが増大してしまう。この問題をどう解消すればよいのか。

製品資料 日本ヒューレット・パッカード合同会社

無計画なハイブリッドクラウドが招く弊害、次世代のITインフラでどう解消する?

クラウドファーストの流れが加速する中、無計画に構築されたハイブリッドクラウドの弊害が多くの企業を悩ませている。ITオペレーションの最適化を図るためには、次世代のハイブリッドクラウドへのモダン化を進めることが有効だ。

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

ITmedia マーケティング新着記事

news027.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。

news023.png

「パーソナライゼーション」&「A/Bテスト」ツール売れ筋TOP5(2025年5月)
今週は、パーソナライゼーション製品と「A/Bテスト」ツールの国内売れ筋各TOP5を紹介し...

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。