コンピュテーショナルストレージには、圧縮や暗号化を行ったりMySQLのクエリを高速化したり、NVIDIAのGPUを使ってデータをリアルタイム処理したりするものもある。
前編(「UbuntuやAzure IoT Edgeが動く」コンピュテーショナルストレージ)では、NGD Systemsの製品を紹介した。
後編では、SamsungやEideticom、Nyriadなどの、FPGAやGPUを搭載した特徴的な製品を紹介する。
Eideticomの「NoLoad」はCSPだ。この製品はアクセラレーターエンジンを含むがストレージは含まない。NoLoadはストレージとホストCPUにNVMeを介して接続する。そのため、コンピューティングとストレージを個別にスケーリングできる。NVMe-oF(NVMe over Fabric)のサポートにより、外部ストレージアレイにデータを均等に保持することが可能だ。
NoLoad機器はFPGAをアクセラレーターとして使用できる。PCIeカードやU.2、あるいは「Ruler」ベースのEDSFFフォームファクターでも利用可能だ。NoLoadは圧縮、暗号化、イレージャーコーディング、重複排除、データ分析、機械学習など、幅広い機能をサポートする。
NoLoad機器はHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)用次世代ストレージシステムの一環として、既にロスアラモス国立研究所にデプロイされている。ここではLustre/ZFSによる主要ストレージタスクをオフロードするために使われ、ストレージシステムのパフォーマンス向上とコスト削減を実現している。
Pliopsがターゲットにするのはストレージで、FPGAを備えたPCIeカードを使ってデータベースなどのアプリケーションで使われるキー/バリュー型の操作を高速化する。「Pliops Storage Processor」はインデックス作成、検索、並べ替えなど、データベース関連のストレージ操作に最適化されたデータ構造を実装し、アプリケーションに変更を加えることなくこれらを高速化できる。「MySQL」のデフォルトエンジンである「InnoDB」など、基盤となるストレージエンジンをハードウェアアクセラレーターに置き換えることでこれが実現する。Pliopsによると、この実装で1秒当たり10倍のクエリを実行できると同時に、SSDのストレージ空間をより効率的に利用してビジネス価値を提供できるという。
恐らく最も極端なコンピュテーショナルストレージアクセラレーターがNyriadのソフトウェア定義ストレージプラットフォーム「Nsulate」だ。NsulateはNVIDIAのGPUを使ってイレージャーコーディングを高速化する。Nsulateは、RAIDの代わりとなる高レベルの信頼性を必要とするハイパフォーマンススケールアウトストレージの実現を目的とする。
同社によると、Nsulateは多数の機器で障害が同時に起きてもパフォーマンスを落とさずにリアルタイムに対処できるという。それは、データをストレージからフェッチするよりも高速にNsulateが不足分のデータを再構築できるためだ。つまり故障したドライブを交換する優先度は低くなる。Nyriadによると、機械学習などの他のワークロードがGPUを同時に使用することも可能だという。
Nsulateは現在、Bostonなどのパートナーによる事前構築済みシステムの一部として利用できる。BostonはSuper Micro ComputerベースのNsulateストレージサーバを提供している。
Samsung Semiconductorにも同様のCSD製品「SmartSSD」がある。SmartSSDはXilinxのFPGA(Field-Programmable Gate Array)とSamsungのNVMe SSDコントローラーを標準の2.5インチ(U.2)フォームファクターのSSDに統合し、最大4TBの容量を実現する。この製品はXilinxが販売している。
XilinxはC/C++、OpenCLでFPGAのロジックを開発できる統合プラットフォーム「Vitis」を提供している。SmartSSDのFPGA向けに最適化されたオープンソースライブラリを使って高速化したアプリケーションをビルドすることも可能だ。VitisにはAIの推論、データ分析、定量的ファイナンスなどを加速するライブラリがある。Xilinxによると、Bigstreamのハイパーアクセラレーションレイヤーを使うと「Apache Spark」の分析を10倍高速化できるという。
コンピュテーショナルストレージはまだ初期段階にある。データセンター向けにコンピュテーショナルストレージを評価する場合は注意が必要だが、特定のアプリケーションではコンピュテーショナルストレージ製品を使うメリットは既に存在する。例えば、全体的な消費電力が削減され、サーバノード1つ当たりに必要なCPUコア数が少なくなるだけでなく、多くの場合はパフォーマンスが大幅に向上する。
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