ウェザーニューズは、気象データを提供する「WxTech」サービスのインフラとして「AWS」を利用している。なぜAWSを選んだのか。同社に理由を聞いた。
気象情報大手のウェザーニューズは以前から、企業向け気象サービスをオンプレミスインフラで運用し、大企業を中心に提供している。2020年6月に新たに提供を開始した「WxTech」(ウェザーテック)サービスは、インフラを従量課金のクラウドサービスにすることで、気象サービスのユーザー企業ごとにインフラを構築する必要をなくし、スモールスタートを可能にした。これにより事業規模や業種にかかわらず、より幅広いユーザー企業がWxTechサービスを活用できるようになる。前回「ウェザーニューズが気象サービス『WxTech』構築で直面したインフラ面の課題とは」に続く本稿では、同社がWxTechサービスのインフラにAmazon Web Servicesのクラウドサービス群を採用した理由を説明する。
ウェザーニューズはWxTechサービスを稼働させるインフラと、各種気象データの処理や管理のためのシステムのほぼ全てに、クラウドサービス群「Amazon Web Services」(AWS)を使っている。なぜ同社はAWSを選んだのか。
AWSについて、ウェザーニューズでWxTechサービスの開発を率いる出羽秀章氏は「提供サービスの種類が充実しており、今後さらなる拡充が予想できる点を高く評価しました」と説明する。既存のユーザー企業が多く情報収集がしやすいため、他のクラウドサービスと比べ学習コストを抑えやすいことも決め手の一つとなった。
サポートサービスが充実している点もAWSのメリットの一つだと出羽氏は言う。ウェザーニューズもAWSのサポートサービスを利用しており、その一環としてアプリケーションの設計や運用方法を提案するAWSのソリューションアーキテクトからの技術支援を受けている。
ウェザーニューズのサービスは台風や集中豪雨、地震といった自然災害が発生すると、ウェザーニュース会員やユーザー企業からのアクセスが増加しやすくなる。こうしたアクセスピーク時に合わせて自前でインフラを構築すると、莫大(ばくだい)な初期導入コストがかかる。平時は必要最低限のリソース利用にとどめ、アクセスが集中するタイミングで一時的にリソースを拡張できるクラウドサービスを利用することで、インフラの導入・運用にかかるコストを最適化できると踏んだ。
クラウドサービスであれば、インフラの運用作業のほとんどをクラウドベンダーに任せられる。ウェザーニューズにとって、自社のIT部門が気象サービスの改善や新規事業の開発により注力できるようになる点も、クラウドサービスを採用する大きな理由の一つだったという。
ウェザーニューズは、WxTechサービスの運用負荷を低減したり、コストを最適化したりするため、AWSのサービス利用に関するさまざまなノウハウを取り入れている。具体的にどのような運用を取り入れているのか。第3回で具体的に紹介する。
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