ゲーム「五等分の花嫁」が、AWSやAzureではなく「Alibaba Cloud」で動く理由クラウドニュースフラッシュ

「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)の新しい割引プラン「Oracle Support Rewards」の発表やゲーム会社enishの「Alibaba Cloud」導入事例など、主要なニュースを紹介する。

2021年07月31日 05時00分 公開
[上田 奈々絵TechTargetジャパン]

 ゲーム会社のenish(エニッシュ)やDeNAは、クラウドサービスを積極的に活用している。両社はどのような目的で、どのクラウドサービスを利用しているのか。両社の取り組みやクラウドサービスの新しい割引プランなど、クラウドに関する主要なニュースを6本紹介する。

「上司がクラウドを理解していない」が7割以上 ガートナーが調査

 ガートナージャパンが2021年4月に実施した調査の結果(有効回答数515件)によると、IaaS(Infrastructure as a Service)とPaaS(Platform as a Service)、SaaS(Software as a Service)などを合わせたクラウドサービスの国内企業における利用率の平均は、2020年調査から4ポイント増加し22%だった。回答者の上司がクラウドをどの程度理解しているかを問う設問では、「上司がクラウド技術を理解しておらず、困っている」という回答が38.6%で、「(困ることはないが)理解していない」という回答(31.8%)と合わせると7割を超える。同社アナリストの亦賀忠明氏は「スキルの獲得は管理職に無関係ではない」と主張。「IT部門のリーダーにとって、全ての管理職がクラウドのスキルを身に付けるための時間と機会をつくることが必要だ」と述べる。(発表:ガートナージャパン<2021年6月14日>)

ゲーム「五等分の花嫁」のインフラに「Alibaba Cloud」を採用 その理由は?

 スマートフォンゲームやブラウザゲームを手掛けるenishは、ゲームのインフラとしてホスティングサービスを使用してきた。データベースサーバやログサーバなどのサーバ運用コストが課題となっていたことから、インフラの刷新を決断。全社的にコンテナオーケストレーター「Kubernetes」の導入による開発作業の標準化を目指していたことや、中国支社を拠点にアジア圏での事業拡大を進めていることから、中国発のクラウドサービスであるAlibaba Cloudを採用した。採用に当たってはマネージドKubernetesサービスとして「Container Service for Kubernetes」を利用できる点や、データベースサービス「ApsaraDB for PolarDB」への移行でデータベースサーバの運用コストを抑えられる点を評価した。中国内のリージョン(地域データセンター群)を複数利用でき、日本国内のリージョンと中国国内のリージョン間でデータ転送を容易にできる点なども採用を後押しした。「五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。」「ぼくのレストランⅡ」など4ゲームの実行・開発インフラをAlibaba Cloudに移行させた結果、これらのゲームのインフラの構築時間や利用コストを大幅に削減できたという。(発表:アリババクラウド・ジャパンサービス<2021年6月14日>)

DeNAが「AWS」を“優先クラウド”に指定

 DeNAはオンプレミスインフラで稼働させているシステムの移行先や新規サービスのインフラとして、Amazon Web Services(AWS)の同名クラウドサービス群を優先して採用する方針を固めた。DeNAは既に複数の自社サービスのシステムをAWSサービスで稼働させている実績がある。インフラの標準化でエンジニアをシステム開発に専念しやすくし、迅速なサービス提供につなげたい考えだ。同社はオンプレミスインフラで稼働させていたモバイルデバイス向けゲーム配信システムをAWSサービスに移行。ライブ動画配信サービス「Pococha」のインフラや、プロ野球チーム「横浜DeNAベイスターズ」のゲームデータ分析などの用途でAWSサービスを利用している。(発表:アマゾンウェブサービスジャパン<2021年6月18日>)

スタジアムがクラウドDWH「Snowflake」を導入 Web面接システムの改善に活用

 スタジアムの「インタビューメーカー」はWeb会議機能や人事評価シート機能など、採用面接に必要な複数の機能を備えたWeb面接システム。同社はインタビューメーカーの改善のために、Web面接における応募者の発話量などのデータ分析を実施してきた。分析対象となるデータ量の急激な増加に伴いデータ分析システムの拡張が課題となり、既存のデータウェアハウス(DWH)の移行先としてSnowflakeの同名クラウドDWHを採用した。Snowflakeはコンピュート(データ処理のためのリソース)とストレージを分離させており、それぞれを要件に合わせて拡張できるようにしている。この点をスタジアムは評価した。(発表:Snowflake<2021年6月17日>)

OCIを使うほどOracle製品を安く使える? Oracleが新割引プラン

 新プランの名称は「Oracle Support Rewards」。Oracleのオンプレミスソフトウェアを利用するユーザー企業は、同社のクラウドサービス群である「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)の利用料金を前払い方式の「Universal Credits」で支払うと、1米ドル当たり最小で25セント分のリワード(報酬)を受け取ることができる。Oracleの包括ライセンス「Oracle Unlimited License Agreements」(Oracle ULA)を利用するユーザー企業は、1米ドル当たり33セント分のリワードを受け取れる。ユーザー企業はOCIサービスの利用量に基づいてリワードを獲得し、Oracle製ソフトウェアのライセンス料金にリワードを充当できる。OracleはOracle Support Rewardsによって、ユーザー企業がソフトウェアのライセンスコストを削減しながらクラウドサービスへと迅速に移行できるようにする考えだ。(発表:日本オラクル<2021年6月23日>)

Tencent Cloudが東京リージョンに2つ目のデータセンターを開設

 Tencentのクラウド事業部門Tencent Cloudは、東京、香港、バンコク、フランクフルトのリージョンに新たなアベイラビリティゾーン(AZ)を開設した。東京のAZは2つ目となる。AZはリージョンを構成するデータセンターを指し、同じリージョンのAZ同士は専用線で接続する。ユーザー企業は、Tencent Cloudサービス利用時に複数のAZを使うことで冗長化が可能になり、災害や電源設備に起因するシステム停止のリスクを抑えられるようになる。(発表:Tencent Cloud<2021年6月3日>)

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