GPUとストレージが直接データをやりとりできるNVIDIAの「GPUDirect Storage」が一般に利用可能になった。まずはどのような仕組みなのか、ざっくりと理解しておこう。
GPU(グラフィック処理ユニット)のデータ処理を高速化するNVIDIAのソフトウェア「Magnum IO GPUDirect Storage」(以下、GPUDirect Storage)が、一般に利用できるようになった。GPUDirect Storageは、GPUがNVMe接続のストレージに直接アクセスすることでデータ処理を高速にする仕組みだ。
GPUDirect Storageは、GPUがサーバのCPUをバイパスし、PCI Express(PCIe)スイッチを介してストレージとの間でデータを直接やりとりすることを可能にする。これによりI/O(データ入出力)が改善し、大量のデータ処理がより高速になる。特にNVIDIAは、用途としてAI(人工知能)技術の利用やHPC(高性能コンピューティング)におけるデータ処理を想定している。
「CPU使用量が約3分の1に減少し、CPUは計算集約型のアプリケーションの実行という本来の仕事に集中できるようになる」。NVIDIAでアクセラレーテッドコンピューティング分野のシニアマネジャーを務めるディオン・ハリス氏はこう説明する。
NVIDIAは、2021年6月~7月に開催されたHPCのイベント「ISC High Performance 2021 Digital」で、同社のAI技術向けコンピュータ「HGX AI」にGPUDirect Storageを搭載することを発表した。この他にも、GPUDirect Storageの実用化のためにNVIDIAはストレージベンダーとの協力を進めてきた。
さまざまなベンダーが、GPUDirect Storageを組み込んだストレージ製品を提供する。既に一般提供を実現しているベンダーとしてはDataDirect Networks、VAST Data、Weka.IO、Dell Technologiesなどがある。Excelero、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Hitachi Vantara、IBM、NetAppなども提供に向けて準備中だ。
GPUDirect Storageは「RDMA」(Remote Direct Memory Access)の仕組みを使った相互接続規格「InfiniBand」など、高速な相互接続を利用するストレージアレイと組み合わせて使う例が多くなる可能性がある。そう予測するのは調査会社Moor Insights & Strategyのシニアテクノロジーアナリスト、スティーブ・マクダウェル氏だ。RDMAとはOSを介さずにメモリ間でデータ転送をする仕組みを指す。
マクダウェル氏はMagnum IO GPUDirect Storageを使うストレージアレイ製品の例として、IBMの「IBM Elastic Storage System 3200」(ESS 3200)、NetAppの「NetApp EF600 all-flash NVMe array」などを挙げる。「機械学習のためにGPUを多用し、I/Oがボトルネックになる可能性がある用途に特にこれらの組み合わせが有効だ」と同氏は話す。
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
HDDの容量が30TB超になると同時に、ストレージ技術はさまざまな進化を続けている。そうした中でもインタフェースに「SATA」(Serial ATA)を採用したHDDが変わらずに使われ続けている。なぜなのか。
カラオケ業界が直面するデータ増に対応すべく多くのストレージを試し続けた結果、4社27台の製品のメンテナンスに悩まされていたエクシング。この問題を解消すべく、同社は大容量かつコスト削減効果に優れた、新たなストレージを導入した。
メインフレームにおけるデータソート処理は、システム効率に大きく影響する。そこで、z/OSシステムおよびIBM Zメインフレーム上で稼働する、高パフォーマンスのソート/コピー/結合ソリューションを紹介する。
ECと通販システムを統合したパッケージの開発と導入を事業の柱とするエルテックスでは、事業の成長に伴いデータの容量を拡大する必要に迫られていた。そこでストレージを刷新してコスト削減や可用性の向上などさまざまな成果を得たという。
長年にわたり強力かつ安全な基盤であり続けてきたメインフレームシステム。しかし今では、クラウド戦略におけるボトルネックとなりつつある。ボトルネックの解消に向け、メインフレームを段階的にモダナイズするアプローチを解説する。
いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。
「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。
「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。
「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。