標準機能としてバーチャル背景が使えないWeb会議ツールもある。ベンダーごとの機能差を補ったり、さらに高度な機能を追加したりするには、サードパーティーツールを組み合わせる選択肢がある。
前編「Zoomの『バーチャル背景』だけじゃない、仕事で使えるWeb会議カスタマイズ機能」に続き、後編となる本稿は、サードパーティーのツールを活用したWeb会議のカスタマイズについて考察する。
Web会議ツールベンダーはカスタマイズ機能の拡充を進めているが、全てのベンダーが同じ機能を提供しているわけではない。例えばLogMeInの「GoToMeeting」は標準機能にバーチャル背景を含まない。高度な機能を使いたい企業には、サードパーティーのサービスを取り入れる選択肢がある。
人気があるのはオープンソースの録画およびライブストリーミングソフトウェア「Open Broadcaster Software」(OBS)だ。これは仮想カメラプラグインを用いてWeb会議ツールと連携し、ストリーミング映像をキャプチャーする。ポストプロダクション(撮影後の映像編集)システムでは一般的な機能であるグラフィックス演出、トランジション(場面転換)、ローワーサード(画面の下3分の1)オーバーレイなどを使って、Web会議に高度なカスタマイズを加えられるようになる。
市場調査会社Let's Do Videoの創業者デビッド・マルドー氏は、Web会議やビデオ制作プロジェクトにOBSを利用している。「OBSにはさまざまな機能があるが、もともとビジネス用途向けには作られていなかった」とマルドー氏は説明する。OBSは動作の安定性が必ずしも高くなく、一部の機能はプラグインを必要とする。「Microsoft Teams」や「Zoom」といった一般的なWeb会議ツールの使い勝手に慣れたユーザーにとっては、使い方の習得が難しい場合もある。
企業向けに同様の機能を提供する他のサードパーティーツールには、Personifyのバーチャル背景設定ツール「ChromaCam」やmmhmmの同名ツールなどがある。この2つはいずれも無料版と有料版がある。これらはMicrosoft TeamsやZoomの他、「Google Meet」「Cisco Webex」といったWeb会議ツールと連携する。
このようなサードパーティーツールを使えば、さまざまなWeb会議ツールに対して共通のカスタマイズ機能を組み込めるようになる。調査会社Metrigyのプリンシパルアナリストであるアーウィン・ラザー氏は、こうしたサードパーティーツールについて「標準機能でバーチャル背景が使えないWeb会議ツールやウェビナーツールであっても、バーチャル背景を利用できるようにしてくれる」と説明する。
Web会議のカスタマイズ機能は、全ての参加者がリモートから、または自分のPCから参加しているときは効果的だ。だがオフィスの会議室から参加する人がいると厄介なことになる。
ラザー氏によると、Microsoft Teamsの「Together」モードは、20人のユーザーがリモートで自分のデスクから参加する場合はうまく機能するが、会議室から参加するユーザーが加わると機能しない場合がある。「在宅勤務とオフィス勤務を組み合わせたハイブリッドワークの体制に移行すると、Togetherモードの便利さが生かされなくなってしまう」と同氏は主張。Togetherモードは「全員がリモートから自分のカメラで会議に参加することを前提にしている」と指摘する。
Web会議ベンダーは「会議室から参加するユーザーを、自分のデスクトップから参加するリモートユーザーと同様に画面に映す」という問題を解決しようとしている。だがそうすると「会議室にバーチャル背景を追加するといったカスタマイズ機能の実装が複雑になってしまう」とマルドー氏は語る。ラザー氏も「会議体験の複雑化につながる機能は、あまり受け入れられないだろう」と懸念を示す。
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