Azureのネットワークサービス「Traffic Manager」「Azure ExpressRoute」「Private Link」「Network Watcher」とは「Microsoft Azure」のネットワークサービス11選【後編】

「Microsoft Azure」のネットワークサービスのうち、「Traffic Manager」「Azure ExpressRoute」「Private Link」「Network Watcher」の4サービスはどのような特徴があるのか。適した用途とは。簡潔に説明する。

2021年08月25日 05時00分 公開
[Kathleen CaseyTechTarget]

 ユーザー企業はMicrosoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」を使うときに、Azureがそろえる複数のネットワークサービスを用いてデータ転送の負荷を軽減したり、インターネットを使わない閉域網でオンプレミスインフラとAzureインフラを接続したりすることができる。中編「『VPN Gateway』『Azure DNS』とは? Azure2大CDN『Azure CDN』と『Azure Front Door』の違いは?」に続き、Azureの主要なネットワークサービスを説明する。

Traffic Manager

 管理者は「Traffic Manager」を使うと、エンドユーザーのデバイスから仮想マシン(VM)などのサーバへのアクセスを分散させることができる。これによりネットワークの可用性を向上させ、ダウンタイム(停止・中断時間)の発生を防止できるようになる。Traffic ManagerはDNSベースのルーティング(以下、DNSルーティング)により、負荷分散を実現する。以下の6種類のDNSルーティング方法を利用して、エンドユーザーのデバイスからのアクセスを最適なサーバに誘導できる。インフラの継続的な監視や自動フェイルオーバー(切り替え)も可能だ。

  • データ転送先の優先順位を指定する「優先順位ルーティング」
  • 最もデータ転送が速いインフラを指定する「パフォーマンスルーティング」
  • 任意のAzureデータセンターを指定する「地理的ルーティング」
  • データ量に基づいて転送先を指定する「重み付けルーティング」
  • データ転送先のIPアドレスの範囲を指定する「サブネットルーティング」
  • 複数の転送先にデータを転送する「複数値ルーティング」

 Traffic Managerはオンプレミスインフラを保有し、クラウドサービスへのバースト(オンプレミスインフラからの一時的な切り替え)やクラウドサービスへの移行、フェイルオーバーを計画するユーザー企業に人気がある。

Azure ExpressRoute

 「Azure ExpressRoute」を利用すると、サードパーティーのインターネットサービスプロバイダー(ISP)が提供するネットワークサービス経由で、企業のオンプレミスインフラとAzureインフラ間を閉域網接続できる。インターネットより低遅延で信頼性の高い接続を可能にする。Azure ExpressRouteを提供するISPには、ComcastやAT&T、Equinixなどが名を連ねている。

Private Link

 IT部門は「Private Link」を利用することで、特定の仮想ネットワーク内に存在するデバイス(プライベートエンドポイント)経由で、仮想ネットワーク外のさまざまなAzureサービス、自社がAzureにホストしているシステム、Microsoftパートナーのサービスにアクセスできる。Azureインフラでデータ転送を実行するため、Azure ExpressRouteや仮想プライベートネットワーク(VPN)サービスなどを利用する必要がない。オンプレミスのネットワーク内にあるデバイスからでも、プライベートエンドポイントと接続するAzureインフラにアクセスできるようになる。

Network Watcher

 「Network Watcher」はAzureネットワークサービスをまとめて監視するためのサービスだ。Azureの仮想ネットワーク内にあるネットワークリソース(仮想ネットワークやロードバランサーなど)の監視や問題の診断、ネットワークリソース数の表示、ログの分析など多様なツール群をそろえる。Azureはサービスごとに標準の監視機能を提供している。Network Watcherは、Azure VMやAzure仮想ネットワークなど、Azureリソースで構成されたネットワークをより包括的に監視しやすくしている点が特徴だ。企業はリソースの使用状況だけでなく、リソース間の接続状況を確認することもできる。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

鬮ォ�エ�ス�ス�ス�ス�ス�ー鬯ィ�セ�ス�ケ�ス縺、ツ€鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス

製品資料 株式会社マヒト

低価格かつ高品質な名刺を作成する名刺発注サービス、その9つの特長とは?

ビジネスパーソンに欠かせない名刺だが、作成/発注業務は意外と手間がかかるため、担当者の負担になっていることも少なくない。そこで、名刺の作成から注文までの全工程をWeb上で完結し、業務を効率化する名刺発注サービスを紹介する。

技術文書・技術解説 ドキュサイン・ジャパン株式会社

導入が進む一方で不安も、電子署名は「契約の証拠」になる?

契約業務の効率化やコストの削減といった効果が期待できることから、多くの企業で「電子署名」の導入が進んでいる。一方で、訴訟問題へと発展した際に証拠として使えるのかといった疑問を抱き、導入を踏みとどまるケースもあるようだ。

プレミアムコンテンツ アイティメディア株式会社

VMware「永久ライセンス」を継続する“非公認”の方法

半導体ベンダーBroadcomは仮想化ベンダーVMwareを買収してから、VMware製品の永久ライセンスを廃止した。その永久ライセンスを継続する非公認の方法とは。

製品資料 発注ナビ株式会社

商談につながるリードをなぜ獲得できない? 調査で知るSaaSマーケの課題と対策

SaaSサービスが普及する一方、製品の多様化に伴い、さまざまな課題が発生している。特にベンダー側では、「商談につながるリードを獲得できない」という悩みを抱える企業が多いようだ。調査結果を基に、その実態と解決策を探る。

製品資料 株式会社ハイレゾ

GPUのスペック不足を解消、生成AIやLLMの開発を加速する注目の選択肢とは?

生成AIの活用が広がり、LLMやマルチモーダルAIの開発が進む中で、高性能なGPUの確保に問題を抱えている企業は少なくない。GPUのスペック不足を解消するためには、どうすればよいのか。有力な選択肢を紹介する。

郢晏生ホヲ郢敖€郢晢スシ郢ァ�ウ郢晢スウ郢晢ソスホヲ郢晢ソスPR

From Informa TechTarget

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは

いまさら聞けない「仮想デスクトップ」と「VDI」の違いとは
遠隔のクライアント端末から、サーバにあるデスクトップ環境を利用できる仕組みである仮想デスクトップ(仮想PC画面)は便利だが、仕組みが複雑だ。仮想デスクトップの仕組みを基礎から確認しよう。

Azureのネットワークサービス「Traffic Manager」「Azure ExpressRoute」「Private Link」「Network Watcher」とは:「Microsoft Azure」のネットワークサービス11選【後編】 - TechTargetジャパン クラウド 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

TechTarget郢ァ�ク郢晢ス」郢昜サ」ホヲ 隴�スー騾ケツ€髫ェ蛟�スコ�ス

鬩幢ス「隴取得�ス�ク陷エ�・�ス�。鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�、鬩幢ス「隴主�讓滂ソス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�シ鬩幢ス「隴乗��ス�サ�ス�」�ス�ス�ス�ス鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ゥ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ュ鬩幢ス「隴趣ス「�ス�ス�ス�ウ鬩幢ス「�ス�ァ�ス�ス�ス�ー

2025/05/13 UPDATE

ITmedia マーケティング新着記事

news025.png

「マーケティングオートメーション」 国内売れ筋TOP10(2025年5月)
今週は、マーケティングオートメーション(MA)ツールの売れ筋TOP10を紹介します。

news014.png

「サイト内検索」&「ライブチャット」売れ筋TOP5(2025年4月)
今週は、サイト内検索ツールとライブチャットの国内売れ筋TOP5をそれぞれ紹介します。

news046.png

「ECプラットフォーム」売れ筋TOP10(2025年4月)
今週は、ECプラットフォーム製品(ECサイト構築ツール)の国内売れ筋TOP10を紹介します。