「Microsoft Azure」を利用する際は、用途に適したネットワークサービスを選択するとよい。Azureのネットワークサービスのうち、4サービスの特徴と機能の違いを説明する。
Microsoftのクラウドサービス群「Microsoft Azure」は、仮想マシン(VM)などのリソース間を接続したり、コンテンツを配信したりするために、幾つかのネットワークサービスを用意している。前編「『Azure VNet』『Load Balancer』『Application Gateway』とは Azureネットワークサービスの基礎」に続き、Azureの主要なネットワークサービスを説明する。
「VPN Gateway」はネットワークゲートウェイサービスだ。通信を暗号化してインターネットからさまざまな仮想ネットワークやサイト(拠点)にアクセスできるようにする。ITチームは、サイト間の接続、デバイスからサイトへの接続(ポイント対サイト接続)、仮想ネットワークサービス「Azure Virtual Network」(Azure VNet)や閉域網接続サービス「Azure ExpressRoute」を使った接続など、ニーズに合わせて最適な接続オプションを選ぶことができる。
「Azure DNS」はDNS(ドメインネームシステム)サーバのホスティングサービスだ。管理者はAzure DNSを使ってDNSレコード(ドメイン名とIPアドレスを対応させるための情報)を管理できる。管理者は管理コンソールの「Azure Portal」やコマンド実行サービスの「Azure PowerShell」、コマンドラインインタフェースの「Azure CLI」を利用してDNSレコードを管理する。Azure DNSはインターネットへの接続に利用するDNSゾーン(DNSレコード群の管理単位)と、仮想ネットワークへの接続に利用するDNSゾーン(プライベートDNSゾーン)の両方を管理する。「Azure Private DNS」はプライベートDNSゾーンを管理するAzure DNSの一機能で、仮想ネットワーク内のドメイン名を管理する。Azure Private DNSを使いカスタムドメイン名を設定することで、ユーザー企業は自社のニーズに合わせた仮想ネットワークの設定をしやすくなる。
「Content Delivery Network」(Azure CDN)はAzureのコンテンツ配信ネットワーク(CDN)サービスだ。データ量の大きいWebアプリケーションや動画、ソフトウェアの更新プログラムなどのコンテンツを、キャッシュを利用して配信する。コンテンツをより迅速かつ低遅延でエンドユーザーに配信するために、キャッシュは世界中のエッジロケーション(データの配信先と地理的に近い場所にあるデータセンター)に格納される。IT部門はドキュメントなどの静的コンテンツを配信することも、動画などの動的コンテンツを配信することもできる。
「Azure Front Door」はWebアプリケーションファイアウォール(WAF)やbot攻撃保護、DDoS(分散型サービス停止攻撃)保護などのセキュリティ機能を組み込んだCDNサービスだ。Azure CDNと同じく、エッジロケーションを利用して通信の遅延を低減する。Azure Front Doorは世界中にあるAzureデータセンターを利用したロードバランシング(負荷分散)機能によって、アプリケーションの信頼性とパフォーマンスを高める。IT部門はAzure Front Doorのレポート分析機能を利用して、資産に関する詳細情報をリアルタイムで取得したり、CDNのトラフィック(データ流量)を監視したりできる。動的Webアプリケーションや静的コンテンツを扱っている企業に適したサービスだ。
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