「Wi-Fi 6E」の6GHz帯は制約あり 高速化のはずが“つながらない”ことも?「Wi-Fi 6E」を前提にした無線LAN【後編】

「Wi-Fi 6E」は接続が混雑する無線LANの問題を解消する規格として期待が持てる。ただし過去の無線LANと異なる周波数帯を使うときに注意すべき点がある。

2021年08月11日 05時00分 公開
[Lee BadmanTechTarget]

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 「Wi-Fi 6」と「Wi-Fi 6E」は標準化団体IEEEの無線LAN規格「IEEE 802.11ax」を基にしているため、基本的な機能は共通している。目覚ましい違いは利用する周波数帯が増えることだ。ここまでは前編「『Wi-Fi 6E』と『Wi-Fi 6』は同じなのに“全然違う”理由」でも触れた。

 Wi-Fi 6Eの6GHzの周波数帯は、利用できる帯域幅に余裕がある。2.4GHz帯や5GHz帯で発生しがちな干渉が起こりにくい。

絶対に考慮すべきWi-Fi 6Eの落とし穴

 周波数の特性として、周波数が上がるほど同じ電力で到達する通信距離が短くなることや、壁などの障害物の先へ回り込む特性が弱くなることを理解しておく必要がある。無線LANのネットワークを設計する際に、2.4GHzと5GHz、6GHzのこうした違いを考慮しなければ、無線LANのカバー範囲に穴ができてしまう可能性があるからだ。

 屋外でWi-Fi 6Eを使う場合は別の問題に突き当たる。6GHz帯は、免許を必要とする通信に利用されていることがある。そのためWi-Fi 6Eの無線LANアクセスポイントの電波がそうした事業者の通信を妨害しないようコントロールする必要がある。

条件付きの恩恵

 Wi-Fi 6Eを正しい条件の下で使えば、無線LANのデータ伝送の容量増大や高速化、レイテンシの低下などの恩恵を受けることができる。そのためには、

  • 広い帯域幅を使うメリットを引き出せるかどうかは、クライアントデバイス側の機能に依存すること
  • 利用する周波数によって電波の到達に違いが生じること

などを理解しておくことが必要だ。そうした条件を前提にしなければ、無線LANの設計が失敗に終わる可能性がある。

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