米国防総省の新クラウド「JWCC」契約の勝者はMicrosoftかAWSか、それとも……「JEDI」から「JWCC」へ 変動の米国防総省クラウド【後編】

米国防総省(DoD)はクラウドに関する新しい取り組み「JWCC」を立ち上げた。DoDは最終的にどのベンダーを採用するのか。

2021年08月11日 05時00分 公開
[Ed ScannellTechTarget]

 クラウドプロジェクト「JEDI」(Joint Enterprise Defense Infrastructure)に関するMicrosoftとの契約を解除すると発表した米国防総省(DoD)は、「JWCC」(Joint Warfighter Cloud Capability)と呼ぶ新しい取り組みを立ち上げ、MicrosoftとAmazon Web Services(AWS)に提案を求める計画だ。前編「米国防総省がMicrosoftとの100億ドルクラウド契約を撤回した理由 JEDIの行方は」に引き続き、本稿はJEDI契約の撤回とJWCCについて説明する。

JWCC契約を勝ち取るのはMicrosoftかAWSか、それとも……

 JWCC契約を受注する可能性があるのは、MicrosoftとAWSに限らない。ただし重要情報を管理するための厳しい基準を満たす必要があるため、応募可能なベンダーは限られる。MicrosoftとAWSはJEDI契約獲得時点でこれらの要件を満たしている。JWCCの基準を満たしているMicrosoftやAWSと比べ、Googleなどの他ベンダーにとっては「高い壁が立ちはだかる」と、コンサルティング会社Network Communications Architectsのプレジデント、フランク・ズベック氏は語る。

 Microsoftは公式ブログのエントリ(投稿)でDoDの決定に一定の理解を示し、次のように述べている。

当社はDoDの論拠を理解しており、JEDIが提供していたはずのミッションクリティカルな技術を必要としているDoDと軍関係者を支援します。DoDは何年にも及ぶ法廷闘争を続けるか、それとも別の道を探して前に進むかという難しい選択を迫られました。(中略)DoDがMicrosoftとその技術を信頼していることは明らかであり、新しい取り組みのパートナーを選定するに当たり、当社が引き続き成功することを確信しています

 本稿執筆までにAWSのコメントを得ることはできなかった。

 調査会社Constellation ResearchのCEO、R・レイ・ワン氏は、JEDIの計画のほとんどは「時間と労力の無駄に終わった」と語る。「結局のところ、OracleとAWSのロビー活動がJEDIに関するDoDの自信を揺るがした」とワン氏は指摘。「次はGoogleやOracleが再び入札するかどうかが問題だ」と同氏は話す。

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ITmedia マーケティング新着記事

news037.jpg

Boseが新型イヤホンをアクセサリーに CMOが語る「オシャレ推しに転じた理由」は?
2024年2月にオープンイヤー型のイヤホン「Bose Ultra Open Earbuds」を発売したBose。従...

news005.jpg

「コミュニティー」の正解はオフライン? オンライン? トレジャーデータがコロナ禍で学んだこと
Treasure Data CDPユーザーが主体となって活動するコミュニティー「Treasure Data Rockst...

news170.jpg

ニトリやサツドラも導入 自社ECで「Amazonのようなビジネス」を実現するサービスの魅力
オンラインマーケットプレイス構築を支援するMiraklが日本で初のイベントを開催し、新た...