「プロプライエタリ」と「OSS」のRDBMS、読者が考えるそれぞれの魅力とは?RDBMSに関する読者調査レポート

RDBMSは組織のデータ管理を担う。さまざまなRDBMS製品が存在する中、組織はどのような観点でRDBMS製品を採用したり、置換したりしているのか。読者調査の結果から探る。

2021年09月30日 05時00分 公開
[大久保 心織TechTargetジャパン]

 組織は古くから、データを管理するソフトウェアとしてリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)を活用してきた。昨今はプロプライエタリ(商用)製品だけでなく、OSS(オープンソースソフトウェア)のRDBMSも普及している。TechTargetジャパン会員の所属組織はRDBMSにどのようなメリットを見いだし、データ活用に取り組んでいるのかを調査した。

調査概要

目的:TechTargetジャパン会員でIT製品・サービスの導入に関与する方を対象に、RDBMSの実施状況について調査するため

方法:Webによるアンケート

調査対象:TechTargetジャパン会員

調査期間:2021年3月19日〜4月19日

総回答数:252件

※各回答の割合(百分率)は小数点第2位を四捨五入して表示しているため、割合の合計が100%にならない場合があります。


プロプライエタリとOSSのどこに魅力を感じるか

 調査時点で、1つ以上のRDBMSを利用しているとの回答は88.1%、利用していない/不明との回答は11.9%だった。RDBMSを利用していると回答した人のうち、プロプライエタリRDBMSを利用していると答えた人は78.8%と8割に迫る一方、OSSのRDBMSを利用していると答えた人は43.8%にとどまった。RDBMSは組織に広く浸透しているが、プロプライエタリとOSSでは導入率に差が見られる。

 RDBMSを利用しているとの回答のうち、プロプライエタリRDBMSのみを利用しているとの回答は45.6%、OSSのRDBMSのみを利用しているとの回答は12.3%だった。このことからもプロプライエタリRDBS優勢の傾向がうかがえる。

 プロプライエタリRDBMSを利用しているとの回答者に、プロプライエタリRDBMSを選ぶ理由を尋ねたところ、「データベースの可用性・安定性を高められる」が48.1%と、2番目に多い「データベースの処理能力を向上させられる」の27.0%を引き離した(図1)。ビジネス用途でプロプライエタリRDBMSを選択する人は、特に堅牢(けんろう)性に重きを置く傾向があると言える。

図1 図1 プロプライエタリRDBMSを導入・使用する理由(複数回答、n=188)《クリックで拡大》

 OSSのRDBMSを利用しているとの回答者が答えた選定理由は、「データベースの導入・運用コストを抑えられる」が60.0%で圧倒的に多く、続く「導入や運用の参考になる導入実績が豊富にある」が29.5%だった(図2)。OSSのRDBMSは、プロプライエタリRDBMSとは別の観点から評価を集めていることが分かる。

図2 図2 OSSのRDBMSを導入・使用する理由(複数回答、n=105)《クリックで拡大》

 RDBMSを利用しているとの回答者が利用中の製品として挙げたのは「SQL Server」が55.4%、「Oracle Database」が43.3%、「MySQL」「PostgreSQL」がそれぞれ25.8%だった(図3)。特にプロプライエタリRDBMSに関しては主要製品を利用する人が目立つ一方、選択肢の幅は広い。

図3 図3 導入・使用しているRDBMS。プロプライエタリDBMSの数値をオレンジ、OSSのRDBMSの数値を青で示す(複数回答、n=240)《クリックで拡大》

RDBMS移行の背景は前向きか後ろ向きか

 「導入済みのRDBMSを移行したことがあるかどうか」という質問に「置き換えを検討したが実行できなかった」「置き換えたことがある」「置き換えを実行・検討している」と答えた82人について、移行を実行あるいは検討した理由を聞いた。

 回答数が最も多かったのは「データベースの導入・運用コストを抑えられなかった」の45.1%で、コストが悩みの種になっている様子がうかがえる(図4)。これに続くのが「オンプレミスのインフラからクラウドサービスへアプリケーションを移行させることを決めた」の24.4%で、国内組織におけるデータベースのクラウド化が進んでいることが分かる。以下「データベースの可用性・安定性を高められなかった」の22.0%、「データベースの処理能力を向上させられなかった」「アプリケーションの開発・改修速度を上げられなかった」の各15.9%と続く。利用中のRDBMSの性能や、組織内でのRDBMS運用体制に課題を感じていた回答者が一定数いた。

図4 図4 RDBMSの移行を実行・検討した理由(複数回答、n=82)《クリックで拡大》

 RDBMSの置き換えを実行・検討する際に必要だと感じた情報としては、「RDBMSの運用コストやライセンス体系」が56.1%、「RDBMSの稼働に必要なシステム要件」が46.3%、「RDBMSの移行事例」が41.5%など、コストへの関心はやはり高いものの、特定の選択肢への偏りは見られなかった(図5)。組織はRDBMSに関するさまざまな情報を探しながらRDBMSの移行に取り組んでいる。

図5 図5 RDBMSの置き換えを実行・検討する際に必要だと感じた情報(複数回答、n=82)《クリックで拡大》

 自由記述で「現状抱えている課題」を聞いたところ、「人材不足」「コスト」「運用」といった単語が並んだ。実際に組織が移行を実行あるいは検討した理由と似た事柄に加えて、人材不足が組織のRDBMS移行における課題となっている。従来叫ばれてきた国内組織のシステム運用における人材不足の課題はRDBMSでも例外ではなく、あらためて浮き彫りになった形だ。

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