HPはTeradiciを買収し、遠隔のコンピュータへのリモートアクセス技術を統合する。PCベンダー大手はどのような戦略を描いているのか。
PCベンダーのHPは2021年7月27日(現地時間)、リモートアクセス用のソフトウェアベンダーTeradiciを買収すると発表した。HPは自社製品にTeradiciのソフトウェアを組み合わせ、在宅勤務を拡大している企業に売り込む。買収は2021年末までに完了する見通しだ。HPは買収金額などの詳細を明らかにしていない。
Teradiciは、CAD(コンピュータ支援設計)や3D(3次元)レンダリングを中心とした用途向けの、遠隔のPC間でネットワークを介して表示画面を転送するプロトコル「PC over IP」(PCoIP)の技術を強みとしている。この技術の主な導入先はAmazon Web Services(AWS)やGoogle、Microsoftのクラウドサービス、仮想デスクトップインフラ(VDI)製品などだ。
HPは今回の買収によって、物理ワークステーションへリモートアクセスできるHPのソフトウェア「ZCentral Remote Boost」にTeradiciの技術を組み合わせる計画だ。エンジニアやアニメーション制作者、映像編集者といったユーザーがノートPCやタブレットを使い快適に作業できるようにするという。
調査会社Knowledge Sourcing Intelligenceはリモートアクセスのソフトウェア市場について、オフィス出社と在宅勤務を組み合わせた「ハイブリッドワーク」の拡大を背景に、2026年まで年間約16%の成長率を見込む。HPのプレジデント、アレックス・チョ氏は、「Teradiciの技術統合によって場所を問わずに高性能なPCを利用したいというニーズに応える」と言う。
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