Appleの従業員が社内の差別、偏見、ハラスメントを告発問われるAppleの職場文化

Appleの現従業員と元従業員が、Appleには人種差別、性差別、ハラスメントなどがあり、人事部門は解決しようとしないと訴えている。

2021年10月18日 08時00分 公開
[Sebastian Klovig SkeltonComputer Weekly]

 人種差別、性差別、不公平な扱い、ハラスメント、嫌がらせに関する広範な事件がAppleの人事部門に無視されているとして、Appleの現従業員と元従業員からなるグループがAppleの職場文化を公然と批判している。このグループは「#AppleToo」として知られる。

 #AppleTooはAppleの従業員から約500件の証拠を集めた。連絡を取った従業員の大多数は、Appleで働いている間の扱いについて当局(米国労働関係委員会など)に苦情を申し立てる方法または報道機関と話す方法に関する情報を求めていたという。

 #AppleTooは、「人種差別、性差別、不公平な扱い、報復、いじめ、性的を含む各種ハラスメント、性的暴行に関する何百ものストーリー」がリンクされるスレッドで、こうした申し立てをAppleの人事担当者が無視していると主張する。

iStock.com/Gustavo Muñoz Soriano

 「あまりにも長い間、Appleは世間の厳しい目を逃れている。黒人、先住民族、少数民族などの人種、性別、歴史的差別によって多くのApple従業員が不当な扱いに直面している。社内の秘密主義文化が透明性を損ない、威圧感を生み出している」と#AppleTooのWebサイトに記載されている。

 「職場で目にしたり経験したりする根強い不当な扱いについて説明責任や是正を求めても、孤立させられ、評価が下げられ、嫌がらせを受けるというパターンに追い込まれる。もうたくさんだ。社内手段は全て使い尽くした。上司に話した。Peopleチームにも出向いた。Business Conductを通じたエスカレーションも行った。でも何も変わらなかった」

 「私たちは職場の体系的変化を求めるため、Apple、AppleCare、小売り部門とも、パートタイムおよびフルタイムの従業員とも、同僚として手を携えなければならない。私たち全員が従業員名簿に名を連ねている。だが同じ扱いではない。全員に平等な権利が与えられているわけではない」

 英Computer Weeklyは#AppleTooの主張と申し立てについてAppleにコメントを求めた。

 だが、本稿(原文記事)公開時点では返答を受け取っていない。

体系的問題

 #AppleTooの参加者は、ストーリーを共通スレッドに基づいてグループ化し、5つのバッチに分けて公開し始めている。Appleが解決すべき体系的問題があることが示され、今後も定期的な公開が予定されている。

 これまでに公開されているストーリーは、従業員が上司やAppleの人事部門に懸念を表明したが、上司やAppleの人事部門が解決しなかったと主張されているものだ。そのため、従業員は居心地の悪い職場環境で働き続けていると申し立てている。

 事件の詳細と自分の証言を「AppleTooダイジェスト」以外には公開しないように求める従業員もいる。AppleTooダイジェストはAppleでセキュリティエンジニアを務めるシェール・スカーレット氏が公開している。同氏はソフトウェア業界では大きなオンラインプレゼンスを有しているため、#AppleTooの事実上の顔になっている。

 スカーレット氏はTwitterで、#AppleToo運動の拡大に成功しているのは、同氏の同僚がここ数年運営しているDiscordのおかげだと述べている。このフォーラムでは、身元確認済みの従業員が個人を特定できる情報を使わずに匿名で話し合うことができる。

 スカーレット氏は次のように補足している。「#AppleTooフォームで受け取ったストーリーの大半は小売店からのものだ。高給取りの従業員間の不満だけではない。『高給取り』ではない従業員もいる」

偏見についての懸念

 英国の小売店で働くある黒人従業員はAppleに6年在籍している。そして新たな役職についての面接を受けたときに「亀裂が見え」始めたという。

 「リーダー職の面接を受けた後、その職に就けなかった主な理由が伝えられた。それは『普段大声で話すこともエネルギッシュに働くこともなく、堅苦し過ぎる』というものだった。店長には、黒人は声が大きくエネルギッシュだという期待があり、私にはそれがなかった」

 「私の他の結果は完璧だった。業績も、志も、答えも。だが私は店長が期待する黒人ではなかったのだろう。面接の過程を真剣に受け止めようとする真面目な黒人として扱えなかったのだろう」

 「面接後、ますます亀裂を感じるようになっていった。私たち黒人はアイデンティティーやリーダーシップを取ることに本当に苦しんでいて、偏見(人種差別や細かい敵意)について懸念があっただけでなく、偏見に関する実際の行動も受けていた」

 公開されている他のストーリーには、少数民族の従業員に対する同様の差別の詳細や、他の場所で公開されることを望まないセクハラや性的暴行の情報が含まれている。

 Appleは、同社のシニアエンジニアリングマネジャーのアシュリー・ギョービク氏の処遇についての厳しい調査に既に直面している。同氏はAppleで危険な労働条件、性差別、敵対的オフィス環境を経験していると主張する。

 提起した問題を人事部門が無視したという#AppleTooの主張と同様、ギョービク氏は自身の主張を文書化するために立ち上げたWebサイトにおいて、証拠を集めて適切にレビューする前に、Appleによって無期限の有給休暇を余儀なくされたと述べている。

 「社内で試したことは全て失敗した。今頼れるのはこのサイトだけだ」と同氏は記載している。

 Protocolに寄せたコメントの中でスカーレット氏は次のように補足している。「Appleは責任を負う必要があると感じている。Appleは責任を果たしていない。従業員は聞いてもらえると感じたい。Appleはそう感じさせていない。何十年もAppleに在籍してきたある従業員は、かつてのAppleのリーダー陣は従業員の話に耳を傾けた。少なくとも耳を傾けていると感じさせてくれた。だが今はそれもなくなったと言う」

 「私は、自分たちに起こった忌まわしいことや受け入れ難いことを世間に伝え、報道機関や一般の人々に確信を持ってもらえる方法を見つけたいと考えているだけだ」

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