Web会議だけじゃない、Zoomの成長戦略【前編】
Zoomがバーチャルイベント市場も制覇へ 「Zoom Events」強化の狙いは
Zoom Video CommunicationsはWeb会議以外の分野に事業を広げようとしている。具体策の一つが、バーチャルイベント運営ツール「Zoom Events」の強化だ。Zoom Eventsの進化から見える同社の戦略は。
Zoom Video Communicationsは2021年9月に開催したユーザーカンファレンス「Zoomtopia」で、自社製品/サービスの幾つかの新機能を発表した。主なものは
- 大規模バーチャルイベントを開催するための新機能
- Web会議中のコラボレーション機能における利便性の向上
- テレワークとオフィスワークを組み合わせた業務形態である「ハイブリッドワーク」の課題解決のための機能
などだ。他にもWeb会議の基本機能やイベント運営の仕組み、チャットツールの機能を今後更新するという。
「Zoom Events」強化の狙いは バーチャルイベント市場の覇者へ
「Zoom Video CommunicationsはWeb会議ツール『Zoom』の使いやすい機能が役に立ちそうなあらゆる分野に進出して、より大きな総合ベンダーになろうとしている」。調査会社Constellation Researchでバイスプレジデント兼アナリストを務めるディオン・ヒンチクリフ氏はこう予測する。
Zoom Video Communicationsによると、同社のバーチャルイベントツール「Zoom Events」で10億人以上がWebセミナーに参加した。同社は2021年秋に、Zoom Eventsに新しいイベントタイプ「Conference」を追加する。これを使うと、イベント主催者は最大5日間のイベントを開催でき、最大13件のセッションを同時に実施できるようになる。主催者がブランディング戦略のメールマガジンやアンケートを送信したり、スケジュール作成機能や個別の交流チャットルーム機能を参加者に提供したりすることも可能だ。
調査会社Metrigyでプレジデント兼アナリストを務めるアーウィン・レザー氏によると、Zoom Eventsへの参加とZoomのWeb会議への参加は、使い勝手がよく似ている。「Zoomのユーザーインタフェース(UI)に慣れているエンドユーザーは、別のバーチャルイベントシステムの使い方を学ぶよりも、Zoom Eventsで開催されるカンファレンスに参加したいと思うだろう」とレザー氏は語る。イベントに参加するために新しいことを学ぶ必要のない方を選ぶ、という見立てだ。
新たにZoom Eventsに加わる「Backstage」という新機能は、発表者とパネリストがイベント本番前に打ち合わせをして、セッション中のチャットや質疑応答について確認できる控室のようなスペースを提供する。Zoom Video Communicationsは2021年中にこの機能のβ版を提供する計画だ。同社グループプロジェクトマネジャーでZoom Eventsの責任者を務めるパンカジ・プラサッド氏はZoomtopiaの基調講演で「この機能はイベント開催者から最も要望の多かった機能だ」と述べている。
Zoom Video Communicationsの競合となるWeb会議ツールベンダー各社も、全社会議やWebセミナー、トレードショー(産業見本市)などを開催する機能を強化している。Cisco Systemsは2021年夏にSocio Labsの買収を完了し、リアルとバーチャルの要素を組み合わせたイベントを開催する機能をWeb会議ツール「Cisco Webex」に追加する。Microsoftは2021年前半にユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Microsoft Teams」にWebセミナー機能を追加し、セッションの参加可能人数を引き上げた。
後編は、ハイブリッドワーク向けの機能拡充やコンタクトセンター向け製品など、新しい領域を開拓する同社の狙いを考察する。
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 先取りITトレンド
米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[ゾーホージャパン株式会社] サイバー攻撃からネットワークを守る上で確実に押さえておきたいポイントとは? -
事例
[アルプス システム インテグレーション株式会社] 中小企業でも安心して活用できる「手ごろなSOCサービス」とは? -
製品資料
[株式会社シーイーシー] 脱VMwareに成功した企業は何をどう実践した? 事例に学ぶ戦略立案&実装のコツ -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] ランサムウェア攻撃を“二重の防御構造”で防ぐ、クラウド型基幹システムの実力 -
製品資料
[株式会社オービックビジネスコンサルタント] 動画で知るランサムウェア被害企業のリアル、会計データが無事だった理由とは
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
損保ジャパンはなぜ「COBOL」を捨てなかったのか? 脱メインフレームの真相
-
2
鹿島建設のDXを阻む「10年前のAWS」 安全性と自由度を両立したモダナイズ
-
3
なぜ「全社配布Copilot」は使われないのか? 失敗に学ぶAI定着
-
4
「Excel管理」では限界――製造現場の改善が進まない“隠れた原因”
-
5
AIの導入効果はどう測る? DMM.comのエンジニア組織に学ぶ効果検証のノウハウ
-
6
便利機能が「裏口」に コンテナの安全を脅かす“監視の穴”とは
-
7
「結局使わなくなる」Microsoft 365 Copilotを半年で定着 キリンの3施策
-
8
ランサムウェアに悪用された“Windowsの穴”とは? パッチで直らない脆弱性も
-
9
「Oracle Database」のサポート体系が変更 料金への影響は?
-
10
慶應義塾が「Notion」を選んだ理由 AI導入の盲点になる“情報のサイロ化”
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
2
DX/AI投資の壁を突破、現代の最高財務責任者が直面する課題と克服のヒント
-
3
「オンプレミス回帰」せざるを得ない“合理的な理由”
-
4
LLMが兵器化? 元FBI高官が鳴らす警鐘とセキュリティツール統合のポイント
-
5
システムの保守がモダン化を阻む? 「変えない判断」から脱却する方法とは
-
6
生成AIを開発に導入しても効果が見えない? 実証実験で分かった成果と課題
-
7
経産省DX指針から読み解く、受発注業務デジタル化ロードマップ
-
8
“あのファイル転送”で暗躍するノーウェアランサム
-
9
Microsoft 365を安全に運用 うっかりミスやサイバー攻撃に備えるデータ保護術
-
10
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー