「LTO-9」を企業が待ち望んだ訳 大容量だけではないテープの進化テープ市場は拡大の一途【後編】

テープ規格「LTO-9」の準拠品が登場した。テープユーザーはこれを待ち望んでいた。大容量化だけではない、LTO-9のメリットとは。

2021年10月27日 05時00分 公開
[Paul CrocettiTechTarget]

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 テープ規格「LTO」(リニアテープオープン)の新世代「LTO-9」に準拠したテープ製品が2021年9月に登場した。LTO-9のテープは1カートリッジ当たりの非圧縮時容量が18TB、圧縮時容量が45TBに増加している。前世代「LTO-8」はそれぞれ12TB、30TBだった。

 LTOの新規格に注目すべき理由はこれだけではない。

企業が「LTO-9」を待ち望んだ訳

 LTO-9はデータ転送速度も向上している。非圧縮時で最大400MB/秒、圧縮時で最大1000MB/秒となっている。LTO-8はそれぞれ最大360MB/秒、最大750MB/秒だった。

 IBM、HPE(Hewlett Packard Enterprise)、Quantumの3社が構成するLTOの業界組織によると、富士フイルムとソニーがLTO-9に準拠したテープカートリッジを開発した。富士フイルムは2021年9月7日に新製品を販売開始した。ソニーの担当者によると、同社はLTO-9準拠のテープカートリッジをサードパーティーに出荷しているが、ソニーブランド品の出荷は計画していない。

 従来と同じくテープの新規格品が普及するには時間がかかりそうだ。それでも「企業は新製品が市場に出始めたことを喜んでいる」と、富士フイルムでテープ分野の責任者を務めるリッチ・ガドムスキー氏は語る。一部の企業は、LTO-9が実現するテープの大容量化を非常に必要としているからだ。さらに総所有コスト(TCO)の削減やテープ操作の負荷軽減にもつながる。

 LTOのロードマップは12世代まで完成している。12世代の圧縮時容量は360TBになる計画だ。「LTOは速いペースで進化している」と、米TechTargetの調査部門Enterprise Strategy Group(ESG)のシニアアナリスト、クリストフ・バートランド氏は指摘する。例えば2007年に登場した「LTO-4」の非圧縮時容量は800GBにすぎなかった。

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