警察が捜査データ8TB分を“うっかりミス”で消失 その深刻な影響とは行政機関で広がるクラウド活用【前編】

行政機関の業務のデジタル化が進む中、データの保管が重要な課題となっている。米国のダラス市警察は、人為的ミスが招いたデータ消失により深刻な影響を受けたという。何が起きたのか。

2021年10月27日 05時00分 公開
[Tim McCarthyTechTarget]

 米国の行政機関の間でストレージシステムの需要が高まりつつある。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウン(都市封鎖)を受けて職員が自宅で仕事をするようになり、クラウドストレージの必要性が高まったことが要因の一つだ。加えて警察官や保安官が装着するボディーカメラや市中に設置された監視カメラの映像など、行政の監視用機器から生じる非構造化データが急速に多様化していることも背景にある。

市警察が“うっかりミス”で8TBのデータを消失 その重大な影響とは

 地方自治体の中には、古いデータの保管のためにクラウドストレージの利用を進めているところもあれば、リアルタイムデータの取得のためにオンプレミスの高速ストレージシステムを強化してきたところもある。ストレージの用途やニーズはさまざまで、データを取り巻く法規制の状況も自治体によって異なる。ただしデータの保護と保存が、地方自治体にとって重要な取り組みであることに変わりはない。

 データの取り扱いでミスがあれば、多くの問題を招きかねない。2021年8月上旬、米テキサス州ダラス市の警察はニュースの見出しを飾ることになった。同年4月にクラウドサービスのサーバからオンプレミスのサーバへデータを移行する作業に失敗し、8TB(テラバイト)のデータが復旧不可能になったことを認めたからだ。ダラス市警察は人為的ミスによるものだと発表した。

 当初失われた22TBのデータには、ダラス市警察が収集した画像、文書、動画などが含まれており、そのうち14TB分が復旧された。復旧できなかったデータの中には、捜査中の刑事事件の証拠品が含まれていた。データ消失は結果的に、裁判の遅れや容疑者の釈放につながった。

 コンサルティング会社Dragon Slayer Consultingのプレジデントを務めるマーク・ステイマー氏は、「行政のIT担当者は、大量のデータを管理する必要性に圧倒されている」と指摘する。「われわれは今、『データ津波』の始まりを目の当たりにしている」(ステイマー氏)

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