専門家によると、従業員のソフトスキルを伸ばすためには、「必要なスキル」とそれを表す「具体的な行動」の定義が重要だ。どのように定義すればよいのだろうか。
自動化技術が普及する中で、人間はどのようなスキルを身に付け、仕事に取り組むとよいのか。書籍『Hyper-Learning: How to Adapt to the Speed of Change』の著者で、University of Virginia Darden School of Businessの経営学教授であるエドワード・D・ヘス氏は、ソフトスキル(共感力や謙虚さ、マインドフルネスなどの非定型スキル)に注目する。第1回「『ハイパーラーニング』とは? 自動化が進んでも生き残る方法」に続く本稿は、従業員がソフトスキルを習得する際にリーダーが支援する方法について聞く。
―― 従業員がソフトスキルを習得し始めるに当たって、ビジネスリーダーや人事(HR)リーダーはどのような支援ができますか。
ヘス氏 リーダーはまず、企業の戦略的目標を考え、その目標を達成する確率を高めるソフトスキルを6、7つ選びます。次に具体的な行動を表す言葉でソフトスキルを定義します。例えば謙虚さの証拠として見なせる行動と、謙虚さが足りないことを示す行動とはどのようなものかを定義します。
次に従業員は診断テストを受け、改善が必要な上位2つのソフトスキルを見極めます。見極めた後は、従業員全員がそうしたスキルを改善する個人トレーニングに取り掛かります。それが終わったら、さらに2つのソフトスキルを選んで同じことを繰り返し、能力の向上を目指します。
―― ソフトスキルを表す「具体的な行動」は誰が定義するのでしょうか。例えばソフトスキルトレーニングを専門とするコンサルタントを招き入れるべきですか。それとも最高経営責任者(CEO)や社内の誰かが実施するのでしょうか。
ヘス氏 一般的には、経営者がソフトスキルを定義します。管理者は経営者が定義したトレーニング戦略を受け入れ、最終的に望ましい行動をモデル化します。
確かに、コンサルタントのような専門の推進役がいれば助かります。ただし従業員のソフトスキルを伸ばす取り組みは経験的なもの、つまり実践しながら学ぶアプローチになります。コンサルタントにソフトスキルを表す行動の定義を依頼し、「このように行動すべきだ」というリストをもらっても最適な結果は得られません。
行動を定義するというこの大変な作業は、学習に意味付けをするプロセスにもなります。学習への賛同者を増やし、従業員がより学習に尽力するよう促す。学習の意味付けをするプロセスでは、学習者に自身が学習する意味を積極的に理解してもらうことに重点を置くとよいでしょう。
具体的なやり方としては、管理者は、戦略的目標を達成するために必要な行動に基づくリストからソフトスキルを選びます。次に、さらに上の管理者層が推進役と共に、望ましい振る舞いの証拠となるアクションと、望ましい振る舞いが欠けている証拠になるアクションを定義することを推奨します。
第3回は、ソフトスキルを伸ばす取り組みを先導すべきリーダー自身のソフトスキルが低い場合、どのような対策を取ればよいかを紹介する。
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