一部の企業でオフィス回帰が進みつつある中、Zoom Video Communicationsは成長を続けている。同社が分析する「成長の理由」は。
Web会議サービス「Zoom」を提供するZoom Video Communicationsが2021年11月に発表した、2022年度第3四半期(2021年8〜10月期)決算によれば、売上高は10億5080万ドルとなり、前年同期から35%増えた。前年同期、主要国の一部は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によるロックダウン(都市封鎖)6カ月目に突入していた。第3四半期決算の内容は、COVID-19のワクチン接種が広く普及し、感染率が低下した後の同社の先行きに対する根強い懸念を打ち消すものだったと言える。
GAAP(一般会計原則)ベースの営業利益は2億9090万ドル(前年同期は1億9220万ドル)。株式による報酬費用、関連する給与税、買収関連費用を調整した非GAAPベースの営業利益は4億1130万ドルとなり、こちらも前年同期(2億9080万ドル)から増加した。GAAPベースの営業利益率は27.7%、非GAAPベースの営業利益率は39.1%となった。GAAP純利益(普通株主に帰属する純利益)は3億4030万ドルで、前年同期の1億9840万ドルから堅調に伸びた。
2022年度第3四半期の売上高が増加した要因は、新規顧客の獲得と、既存顧客の利用促進に明確な成功を収めたことが挙げられる。第3四半期末時点で、過去12カ月の同社売上高への貢献が10万ドルを超える顧客は2507社に達し、前年同期比で約94%増えた。
同じく第3四半期末時点で、従業員が10人を超える顧客は約51万2100社で、前年同期比約18%増となった。従業員が10人を超える既存顧客からの過去12カ月の実質売上高成長率は、14四半期連続で130%を上回った。
Zoom Video Communicationsの創業者でCEOを務めるエリック S. ユアン氏は第3四半期業績に対して「当社は、テレワークとオフィスワークをつなぐ柔軟な働き方の実現に不可欠な基盤になる道を順調に進んでいる」と強気な見解を示す。企業が試験的にオフィスに戻り始める流れが2021年8〜10月の間に見えてきたことを踏まえた見方だ。
2021年9月にZoom Video Communicationsは、バーチャルイベント運営ツール「Zoom Events」を使って年次ユーザーカンファレンス「Zoomtopia」を開催した。同社はこのカンファレンスでZoomの活用例を示した。ユアン氏によると、同社はこの活用例を通じて、いかにZoomが人々を中心に置き、さまざまな異なる仕事の流れをつなげ、社内コラボレーションを強化し、顔を合わせたコミュニケーションが取れるようにしているかを紹介した。
Zoomtopiaでは、複数の従業員が同じ座席を別の時間に使用するための機能「ホットデスク」やホワイトボード機能といったZoomの機能に加えて、テレビ会議アプライアンス「Zoom Rooms」の画面デザインを変更する「Smart Gallery」機能の紹介もあった。これらはいずれも、テレワークとオフィスワークを組み合わせる働き方「ハイブリッドワーク」の支援を想定している。ユアン氏は「オフィスワーカーとテレワーカーの両方を効果的に支援するように設計されている」と説明する。
「われわれはイノベーションと努力を積み重ね、これからも顧客に満足を届ける」と、ユアン氏はZoom Video Communicationsの方針を語る。「われわれのグローバルブランド、革新的な技術、大きな顧客基盤のおかげで、今後の見通しは明るいと考えている」(同氏)。同社は今後については、2022年度(2022年1月末締め)通年の売上高が前年比で約54%増え、40億7900万〜40億8100万ドルとなり、利益率と営業キャッシュフローも「力強い伸び」(同氏)を示すと予想している。
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