Web会議だけじゃない、Zoomの成長戦略【後編】
Zoomの「ホットデスク」とは? フリーアドレスをAIでもっと効率的に
Zoom Video Communicationsはハイブリッドワークやコンタクトセンター向けのサービスや機能を拡充させようとしている。その具体的な内容から、同社が目指す事業拡大の方向性を探る。
前編「Zoomがバーチャルイベント市場も制覇へ 『Zoom Events』強化の狙いは」に続き、後編となる本稿は、テレワークとオフィスワークを組み合わせた業務形態である「ハイブリッドワーク」向けの機能拡充やコンタクトセンター向け製品など、新しい領域を開拓するZoom Video Communicationsの狙いを考察する。
さまざまな企業がハイブリッドワークの理想像を模索している。このトレンドを踏まえ、Zoom Video Communicationsは、オフィスのデスクを従業員ごとに固定しない「フリーアドレス」の実現を支援する機能拡充に取り組んでいる。
Zoomのフリーアドレス支援機能「ホットデスク」の正体
Zoom Video Communicationsが2021年9月開催のユーザーカンファレンス「Zoomtopia」の場で発表した内容によると、複数の従業員が同じ座席を別の時間に使用するための機能「ホットデスク」がテレビ会議アプライアンス「Zoom Rooms」に加わる。ホットデスクは人工知能(AI)技術を応用して、当日の出勤者状況や、よく共同作業する同僚のリストから、最適な座席の配置をエンドユーザーに提案する。音声クラウドサービス「Zoom Phone」は既にホットデスクの一部を提供している。
エンドユーザーはホットデスクを使うと、マップを使用してデスクや会議室を事前予約できるようになる。エンドユーザーが予約したデスクや会議室に着いたら、Zoom RoomsかZoom Phoneに表示されるQRコードをスキャンしてサインインする。ホットデスクは2021年内に追加の見込みだ。
この発表は、企業がオフィス再開の戦略を立て始めた時期に重なった。調査会社TECHnalysis Researchの創業者でチーフアナリストのボブ・オドネル氏は「これらの企業にとって、Zoom Video Communicationsの発表はタイムリーな訴求になった」と見る。オドネル氏によると、ほとんどの従業員はホットデスクを必要としない可能性があるが、試したいと考えている企業はある。「Zoom Video Communicationsは基本的なビデオ通話以外の機能も提供できることを示そうとしている」(同氏)
コンタクトセンターとのビデオ通話も可能に
こうした拡大計画の一環として、Zoom Video Communicationsは2022年前半に「Zoom Video Engagement Center」(VEC)というコンタクトセンター向け製品の提供を開始する。VECはコンタクトセンターのサービス担当者とエンドユーザーをビデオ通話でつなぎ、エンドユーザーが直面している問題をサービス担当者に伝えやすくする。VECにCRM(顧客関係管理)製品を連携させれば、企業がエンドユーザーの問題を追跡することも可能になる。
「Web会議ツールを使うと、顧客の感情や快適度を見分けやすくなる」と、調査会社Gartnerのアナリストであるマイク・ファシアーニ氏は指摘。「VECは医療業界や金融業界に役立つのではないか」と語る。
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