前年に比べてIT予算を増額した企業が増えている。彼らは2022年、何に投資しようと考えているのか。順当なIT分野が挙がる一方で、新しい動きを表す意外なものが浮上した。
英Computer Weeklyと米TechTargetが実施した2022年のIT優先度調査(アジア太平洋地域の1000人以上を対象)によると、ほぼ半数が重要度を上げたものとしてセキュリティとリスク管理を挙げ、クラウド(42%)が続いた。デジタルワークスペースとモビリティー(39%)およびIT自動化も優先度が高い項目としてリストアップされた。
企業の約3分の2がIT予算を増やしている。ITコストの削減を計画しているのはわずか6%にすぎない。2021年にITコストの増額を検討していた企業が15%だったから大幅な増加になる。
大企業の多くはコロナ禍後の備えとして「Future of Work」イニシアチブを推進している。このイニシアチブでは、生産性とコラボレーションのソフトウェアだけでなくビジネスアジリティーを向上させるツールやクラウドにも投資している。
従業員1万人以上の企業の40%はFuture of Workに積極的に投資している。それより小規模な企業で同様の投資を行っているのは15%にすぎない。その原因は、デジタルスキルの不足と高額な投資コストにある。
新たな投資を下支えしているのはクラウドだ。例外的だったクラウドファーストは、現在では回答企業の半数近くがそれを戦略の既定路線にしている。つまりDevOps、モノのインターネット、クラウドストレージ、カスタマーエクスペリエンス、事業継続性などに投資している。
クラウド関連では特にクラウドストレージへの投資が群を抜いている。調査に回答した企業の半数以上がクラウドデータ管理ツールや保護ツールと併せて、ストレージのクラウド移行を計画していた。
投資はパブリッククラウドに限定されない。銀行から中堅小売業まで、多くの企業がオンプレミスのプライベートクラウドを運用している。これは2022年に44%がハイブリッドクラウド管理ツールへの投資を視野に入れている理由を示している。これにはIT自動化ツール、オーケストレーションツール、「AWS Outposts」「Azure Stack Hub」などのハイブリッドクラウドサービスなどが含まれる。
クラウドネイティブアプリケーションの構築も増えている。2022年は10社中約4社がCI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリー)と併せてマイクロサービスやコンテナへの投資の増額を予定している。
パッケージアプリケーション、特にERPなどへの投資がなくなることはない。2022年は新ビジネスと顧客フルフィルメントモデルの模索に伴い、CRMやEコマースへの投資拡大が見込まれるのは驚くことではない。
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