時節柄、入社時研修もリモートで実施されるようになり、新入社員や中途採用者は困難な状況に立たされている。これは人事担当者にとっても同じだ。両者が抱える課題、「大量退職」を生まない対策とは何か。
Microsoftと大手調査会社YouGovは、英国の労働者2046人と人事部門の意思決定者504人を対象にオンライン調査を実施(2021年10月7日〜15日)した。調査の目的は、現在の働き方の慣行や文化、特にハイブリッドな働き方における新入社員や中途採用者の入社時研修の有効性を探ることだ。
この調査は、英国国家統計局(ONS)の最新データがきっかけになっている。そのデータによると、退職数と転職数が過去20年間で最高レベルに達している。MicrosoftとYouGovによる調査資料は、この状況を「大量退職」と表現している。多くの労働者がワークライフバランスを見直すにつれ、職務や会社を変えるようになっている。
重要なのは、多くの労働者が柔軟性の高い新たな仕事を求めている一方で、コロナ禍のさなかに入社時研修を受けるという現実が課題を生み出していることだ。
パンデミック発生以降に転職した労働者の3分の1以上(36%)は、入社時研修を職場に出向くことなくリモートで受けている。労働者は、リモートによる入社時研修では
などを困難な点として挙げた。
人事部門の意思決定者の3分の1以上(36%)はリモートでの入社時研修の課題を指摘し、入社する従業員に固有のトレーニングを効果的に施すのは難しいと強調している。同じく3分の1以上の人事部門の意思決定者は、必要な情報に従業員が簡単にアクセスできるようにすることに懸念を抱いており、自社の文化と評判の維持を心配する意思決定者も28%に上る。
ハイブリッドな働き方を用意しないことによって起きる最も差し迫った問題として、人事部門の意思決定者は次の点を懸念している。
Microsoftは、ハイブリッドな働き方は「あればよいもの」から「必須のもの」へと急速に移っているとしている。Microsoftによると、企業がハイブリッドな働き方を認めなくなったら50%以上が退職を検討するという。
人事部門に勤務する従業員の半数以上(59%)は、ハイブリッドな働き方が職場の精神的健康にプラスの効果があることに同意している。パンデミック発生以降にリモートで入社時研修を行った人事部門の意思決定者の3分の1以上(37%)は、研修プロセスに課題はあるが適切なITソリューションがあれば解決できると答えている。
「コロナ禍によって、生産性の高い労働者はどこで働いても信頼されることが証明された」と話すのは、Microsoft UKのニック・ヘダーマン氏(労働ビジネス部門ディレクター)だ。
「労働者には職務、好み、個人生活を軸に仕事を見直す機会がある。こうした見直しを可能にするのはITを利用するハイブリッドな働き方モデルだ。ハイブリッドな働き方モデルは全ての人にメリットがある豊かなデジタル文化の創造を支え、優秀な人材を引き付けて確保するのに役立つ」
「人事部門の担当者、管理職チーム、IT部門はデジタルツールを使って連携し、新たな従業員にとってやりがいのある入社時研修プロセスを作成するなど、従業員エクスペリエンスプラットフォームを生み出すことができる。そうすることで新規雇用者が定着する可能性がはるかに高くなる」(ヘダーマン氏)
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