クラウドログ管理の前に「なぜログを管理するのか」を熟考すべしクラウドユーザーのための「ログ管理」5大ベストプラクティス【前編】

IT担当者はログを一元管理することで、システム監視を強化し、トラブルシューティングの速度を向上できる可能性がある。クラウドサービスのユーザー企業がログ管理を成功させるためのベストプラクティスを紹介する。

2022年04月11日 10時00分 公開
[Tom NolleTechTarget]

 企業はクラウドサービスをはじめ、さまざまなシステムを利用している。複数の拠点に分散されたそれぞれのシステムからログを収集して分析するログ管理作業は、IT担当者の仕事を複雑にする。

 ログを保管するデータベースやストレージの形式はさまざまで、それぞれアクセスの方法が異なる。そうした複雑さが原因となり、システムに生じた問題の診断やシステム構成の検討などの用途に、効果的にログを利用するのが難しくなっている。

 クラウドサービスで稼働させているアプリケーションの構成要素や依存関係を可視化するためには、ログを一元管理することが必要だ。本連載は、クラウドサービスのユーザー企業がログ管理に取り組む際のベストプラクティスを5つ説明する。前編はそのうち1つ目と2つ目を紹介しよう。

1.ログ管理でそもそも何がしたいのかを整理する

 IT担当者はまず、クラウドサービスのログ管理の要件を検討する。ログ管理を実行し、ダッシュボードでログを確認できるようにするには、クラウドサービスの利用形態を考慮する必要がある。主な利用形態は以下の通りだ。

  • 単一のIaaS(Infrastructure as a Service)を利用
    • IaaSベンダーが提供するログ管理のためのクラウドサービスを利用する。
  • クラウドサービスとオンプレミスのシステムを組み合わせたハイブリッドクラウドを運用
    • オンプレミスのシステムで実施しているログ管理の手法をクラウドサービスでも利用できるようにする。
  • 複数のクラウドサービスを組み合わせたマルチクラウドを運用
    • ログの収集と分析に、統一のデータ形式を使用する。

 次にログの使用方法を検討する。ログをリアルタイムに収集、確認する必要があるかどうかも考える。リアルタイムのログ収集は、ログ管理のコストと複雑さを高める。ただしシステムに問題が発生したときにログを使って問題を診断したい場合には、リアルタイムのログ収集は不可欠だ。

2.アプリケーションのログとインフラのログを明確に分ける

 アプリケーションのログとインフラのログを分けて保管する。アプリケーションは一般的に、アプリケーション固有の状態をログとして出力する。ログ管理の目標は、全てのログを同じツールで可視化できるようにすることにある。ただしアプリケーションとインフラのログは混在させないようにする。効果的なアプリケーションパフォーマンス管理(APM)を実践するには、アプリケーションとインフラの問題を切り分ける必要がある。

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