これからオフィスの会議室をリニューアルするなら、まず「オフィスの会議室で達成したいことは何か」の定義が必要だと専門家は説く。その理由は。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)をきっかけにテレワークを経験した従業員は、全員がリモート参加するWeb会議の公平なコミュニケーションスタイルになじんでいった。こうしたWeb会議では、全ての参加者がそれぞれ、グリッド(格子状)レイアウトの同じサイズの枠に1人ずつ表示されていて、全員が同じ体験をしていた。
「誰もが顔か上半身しか映っておらず、時にはカメラのフォーカスが合っていないこともあったが、全員が平等だった」。調査会社Recon Researchの創業者アイラ・ウェインステイン氏は、こう振り返る。
企業がオフィスへの回帰計画を立て、オフィスワークとテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」をできるようにするには、「ほぼ全ての会議をオンラインで実施しなければならない」という課題に対処する必要がある。会議室にWebカメラとディスプレイを設置するだけでは十分ではない。
本稿は、2022年3月に開催したコミュニケーションツール関連イベント「Enterprise Connect」の講演内容を基に、公平なWeb会議を実現するためのポイントを考察する。
Web会議中にリモート参加者が疎外感を覚えないようにするために、オフィスの会議室の在り方を見直す必要がある。「物理的なオフィス空間は全て、できるだけインクルーシブ(包摂的)でなければならない」。MicrosoftのTeamsデバイス担当バイスプレジデントを務めるイリヤ・バクシュテイン氏はそう語る。
Microsoftはクラウド技術、カメラ技術、人工知能(AI)技術を活用して、会議室にいない参加者とのつながりを改善するための方法を模索してきた。バクシュテイン氏によれば、同社は会議室からの参加者をWeb会議画面に表示する方法を改善し、動画やコンテンツをディスプレイに映す際のバランスを見直そうとしている。
例えばユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Microsoft Teams」のWeb会議機能には、新しい画面レイアウト「front row」(最前面)が2022年第2四半期(2022年4月〜6月)に加わる。この機能は、会議室の大型ディスプレイ最下部に横一列配置された枠にリモート参加者を映し、会議室内の参加者と視線の高さが合うようにする。両者が自然にお互いの顔を見ながら会話できるようにすることが狙いだ。
企業はCOVID-19のパンデミック発生以降、さまざまなアプローチでオフィスのデザインを見直している。大きな会議室を分割して複数の小さな会議室に変えたり、パーティションで区切った個人ブースをなくしてコラボレーションスペースを追加したりといった具合だ。会議室用の機器は、従業員が望むWeb会議のやり方に沿ってさまざまな選択肢を選べるようにする必要がある。「職場ごとに会議室の在り方もそれぞれ違う。テーブルと椅子を置いて、従業員に特定のやり方を強いるわけにはいかない」。Zoom Video Communicationsのプラットフォーム&プロダクトアクセラレーション統括、グレーム・ゲッディーズ氏はそう語る。
会議室の在り方を見直すときは、企業は「従業員が会議室で何を達成しようとしているのか」を考慮しなければならない。Plantronics(Polyの名称で事業展開)でシニアバイスプレジデント兼ビデオコラボレーション担当ゼネラルマネジャーを務めるボー・ワイルダー氏は「技術については最後に話し合えばよい」と語る。従業員が会議室をどのように使うかを企業が把握すれば、必要な技術は自然に見つかるからだ。
第2回は、公平なWeb会議を目指すに当たり「運用と管理の簡便さ」が重要な理由を解説する。
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