MicrosoftのDaaS「Windows 365 Cloud PC」を利用することで、組織は業務用デバイスの利便性を向上させつつ、セキュリティを強化することが可能だという。それはどういうことなのか。
MicrosoftのDaaS(Desktop as a Service)「Windows 365 Cloud PC」(Windows 365)がもたらす主なメリットはセキュリティの強化だ。中編「『Windows 365 Cloud PC』の使い方とメリットは?」に続く本稿は、Windows 365を使ってセキュリティを向上させる方法を説明する。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大で、場所に縛られずに利用できるノートPCの採用が進んだ。ノートPCはシンクライアントやオフィス内のデスクトップPCと比べて、セキュリティリスクが高まりやすい。
業務用デバイスに、エンドユーザーが私用ソフトウェアをインストールすることを許可している組織がある。これはデバイスがランサムウェア(身代金要求型マルウェア)などのマルウェアに感染するリスクを高める。組織の管理対象ではない私用のソフトウェアは、デバイスにマルウェアを持ち込む可能性がある。エンドユーザーがマルウェアに感染したデバイスを社内サーバに接続させると、サイバー攻撃の被害はより大きくなる。
Windows 365は、エンドユーザーが自身の業務用デバイスを使って、セキュリティを維持しながら手軽に社内システムにアクセスするための仕組みになり得る。組織はWindows 365を利用すれば、エンドユーザーに対して自身の業務用デバイスで私用のソフトウェアを使うことを許可しやすくなる。同時に業務中のエンドユーザーにはWindows 365のクラウドPCを使ってもらい、VPN(仮想プライベートネットワーク)経由で会社のサーバに接続してもらうようにする。このプロセスを通じ、エンドユーザーは私用と業務用の両方でデバイスを使えるようになる。
エンドユーザーは「Android」「iOS」「macOS」「Windows」などのOSから、WebブラウザまたはMicrosoftの画面転送ソフトウェア「Microsoft Remote Desktop」(Microsoftリモートデスクトップ)で、Windows 365を利用できる。シンクライアントで使う場合、Microsoftリモートデスクトップを実行できるシンクライアントOS「IGEL OS」を用いる選択肢もある。
Windows 365を実行するデバイスには制約がある。エンドユーザーは1回に1台のデバイスでしか、クラウドPCを利用できない。ただしノートPCで作業を開始してクラウドPCのセッションを終了した後に、Appleのタブレット「iPad」でそのクラウドPCに再接続するといったことは可能だ。
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