従業員にとってのメリットばかりが語られがちな「ハイブリッドワーク」だが、デメリットを感じる従業員もいる。こうした不満に対して、企業が支援できることは。調査結果を元に考察する。
「『ハイブリッドワーク』は今後も続く」――Web会議デバイスベンダーのPlantronics(Polyの名称で事業展開)は調査レポート「Evolution of the Workplace」(注)で、このように結論付けた。
※注:従来一般的だった「午前9時から午後5時までの勤務形態」に対する従業員の考え方の変化と、オフィスの役割の変化に関する調査レポート。分析は2021年8月に調査会社Censuswideが実施した、ハイブリッドワーカーに対するオンラインのオムニバス調査に基づく。調査対象は、世界7カ国のハイブリッドワーカー7261人。調査対象国は、英国、フランス、ドイツ、ポーランド、スウェーデン、スペイン、アラブ首長国連邦。
前編「調査が示す『テレワークとオフィスワークの共存がこれからも続く理由』」は、オフィスワークとテレワークを組み合わせた「ハイブリッドワーク」が支持される要素を紹介した。続く中編は、ハイブリッドワークの短所に関する調査結果を紹介する。
大抵の従業員はテレワークにメリットを感じている。だが誰もがスムーズにテレワークに移行できたわけではない。Plantronicsは調査レポートで「好きなときに働くこと」と「常時オン」であることの境界線が曖昧になっていると指摘する。回答者の58%は、テレワークが増えることで「自身が『常時オン』でいつでも業務に従事できる状態になっており、仕事から離れてリラックスしたり、休憩したりできないと感じる」と答えた。
テレワークの短所に関する最も多い回答は「同僚との雑談がない」だった。次いで「規定の勤務時間外に働くことを期待される」という回答が多かった。その他、「協働が難しい」「テクニカルサポートの欠如」「テレワークができるような設備が(自宅に)ない」といった回答も上位に挙がっている。Plantronicsは「この結果は、効率よく働くために必要なツールを支給されていない従業員が多いことを示唆している」と指摘する。
回答者の47%は、テレワークだと「同僚や先輩からの学びの機会を失う」と考えており、52%は「ハイブリッドワーカーやテレワーカーは、オフィスに常勤する従業員と異なる扱いを受ける可能性がある」と考えていた。
PlantronicsでEMEA(欧州、中東、アフリカ)セールス担当シニアバイスプレジデントを務めるポール・クラーク氏は、「ハイブリッドワークを成功に導くためには、こうした課題に正面から取り組まなければならない」と話す。企業は従業員をあらゆる活動の中心に置き続け、ハイブリッドワークで業務を遂行するためのツールを提供する必要がある。「企業は、好きなときに働けることと、常時オンであることを混同してはならない」と同氏は指摘する。
健全な業務環境を整備し、好きなときに働く権限を従業員に与える企業は、従業員の幸福度と生産性を高める――とクラーク氏は考えている。「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)の影響で、業界を問わずに『大量退職』現象が起きている。このような状況で、こうした取り組みは特に重要なことだ」(同氏)
後編は、オフィス回帰に対する従業員の不安と、問題解決に向けたポイントを紹介する。
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