2022年06月30日 10時00分 公開
特集/連載

IBMが「AWS」でSaaS提供の“謎” なぜ競合クラウドを使うのか?クラウドニュースフラッシュ

競合サービスである「AWS」を使ってSaaSを提供するIBMの取り組みや、京都大学の「Microsoft Azure」導入事例など、クラウドの主要ニュースを6本紹介する。

[上田 奈々絵,TechTargetジャパン]

 クラウドベンダーが競合他社と協業する動きがある。その狙いとは何なのか。ユーザー企業にとってのメリットは。IBMとAmazon Web Services(AWS)の協業や、HPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)アプリケーションのクラウド移行事例など、クラウドに関する主要なニュースを紹介する。

金融業界がクラウド化で後れを取る理由とは? Nutanixの調査結果から

 HCI(ハイパーコンバージドインフラ)ベンダーのNutanixは、世界の金融企業(銀行と保険会社)のクラウドサービスの利用状況に関する調査結果を発表した。クラウドサービスを利用していない企業の割合は、全業種で集計した場合が47%であるのに対し、金融企業は59%だった。同社はこの結果に対し、金融業界が規制業界であり、セキュリティの確保がクラウドサービス活用を難しくしていると考察する。調査は2021年8月〜9月に、各国企業のIT部門の意思決定者1700人に実施し、そのうち銀行と保険会社の回答者は250人だった。(発表:ニュータニックス・ジャパン<2022年5月31日>)

IBMが競合「AWS」で自社ソフトウェアをSaaS化 その中身とは

 IBMはAWSの同名クラウドサービスをインフラとして利用し、IBM製ソフトウェアをSaaS(Software as a Service)として提供する。対象はAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース)管理ツールの「IBM API Connect」やデータベース管理システム(DBMS)の「IBM Db2 Database」、アプリケーション監視ツールの「IBM Observability by Instana APM」などのソフトウェア。ユーザー企業はAWSの公式アプリケーションストア「AWS Marketplace」でIBMのSaaSを契約できるようになる。所有済みのIBM製ソフトウェアのライセンスをAWSで利用する「Bring Your Own License」(BYOL)も可能だ。オンプレミスインフラで実行するIBM製ソフトウェアと同一のソフトウェアをAWSで利用しやすくすることで、ユーザー企業はハイブリッドクラウドの構築が容易になるという。(発表:日本アイ・ビー・エム<2022年5月19日>)

京都大学が洪水予測システムをスパコンから「Azure」に移行 メリットは

 京都大学防災研究所は、台風発生時の河川の洪水を予測するシステムを構築して利用している。従来はオンプレミスのスーパーコンピュータで同システムを実行しており、洪水予測のためのデータを保管するストレージや、データを処理するサーバなどのリソースの消費量増大に即応することが難しかった。十分なリソースを確保できない場合、計算に時間がかかり、スタッフが長時間作業を強いられる課題もあった。Microsoftのクラウドサービス「Microsoft Azure」への移行後は、HPC管理ツール「Azure CycleCloud」のオートスケール機能でリソースの需要に合わせて仮想マシンを自動で起動、停止することで、手作業を減らしながら必要なリソースを即座に確保できるようになった。(発表:日本マイクロソフト<2022年5月17日>)

スギ薬局が在庫管理業務システムにAWSを採用した“小売店ならではの理由”

 ドラッグストアチェーンのスギ薬局は、本部と各店舗の商品計画や販売計画、発注、販売などのマーチャンダイジング業務に利用する基幹システムをAWSに構築した。AWSへの移行前は基幹システムとしてSaaSを利用していたが、このSaaSの提供終了を機にAWSへの移行を決定。Amazon.comなどのEコマースでの利用実績やインフラの拡張性に加えて、大量のデータを高速処理できる点を評価した。移行後は従来の基幹システムと比較して、在庫管理や売り上げ分析に必要なデータ処理を高速化できたという。基幹システムのAWS移行に合わせて、PCだけでなくスマートフォンやタブレットから基幹システムを利用できるようにしたことで、在庫管理や発注、売り上げ分析などの店舗運営業務の効率化を実現した。システム構築はNECが担当。(発表:NEC<2022年5月20日>)

SUBARUが車両開発用アプリの「OCI」移行でインフラコストを削減 その理由は

 自動車メーカーのSUBARUは、車両設計時に利用するHPCアプリケーションのインフラをOracleの「Oracle Cloud Infrastructure」(OCI)に移行した。このHPCアプリケーションは、3D(3次元)画像技術と数値流体力学を用いた、車両の衝突や走行のシミュレーションに利用する。従来はオンプレミスインフラで稼働しており、データセンターの運用コストが膨らんでいた。システム拡張が難しく、リソースが不足しやすくなるリスクも抱えていた。OCIへの移行後は、計算時に必要な分だけリソースを起動し、計算が終了したらリソースを削除する仕組みを利用。リソース不足で発生するシステム停止のリスクを抑止しつつ、計算時間の短縮とインフラコスト削減が実現した。OCIの採用に当たり、SUBARUはシミュレーションの実行に必要な計算速度を備えている点と、コスト削減効果を評価した。(発表:日本オラクル<2022年5月18日>)

Oracleがファイアウォールサービス 複雑な設定不要でOCIを保護

 「Oracle Cloud Infrastructure Network Firewall」(OCI Network Firewall)は、セキュリティベンダーPalo Alto Networksのファイアウォール機能を、OCIで稼働するワークロード(アプリケーション)で利用可能にするサービス。URLフィルタリングや侵入防止システム(IPS)、脅威検出、データ通信の監視などの機能を備え、ワークロードのインバウンド通信(ネットワーク外部から内部への通信)とアウトバウンド通信(ネットワーク内部から外部への通信)を保護する。ユーザー企業はOCIの管理コンソールから同サービスを利用でき、ファイアウォールを実行するためのインスタンス(仮想マシン)を設定したり、管理したりする必要はない。料金体系はインスタンスの利用時間とデータ通信量に基づく。インスタンスの利用料金が1時間ごとに330円(税別、以下同じ)で、データ通信量は10.24TBまで無料。10.24TB以降は1GBにつき1.2円かかる。(発表:日本オラクル<2022年5月25日>)

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