2025年までに、CO2排出がIT購買における主要な決定要因になるという。サステナビリティ重視の潮流を受け、AWSやGoogle、Microsoftなどのクラウドベンダーはどう動くのか。
環境や持続可能性(サステナビリティ)に関する懸案事項は、役員会の議題に絶えず挙がっている。調査会社Gartnerは、2025年までにCO2(二酸化炭素)排出量が企業のIT購買における要件“トップ3”に入ると予測する。
この予測は、「環境に優しい方法でデータセンターを運用しなければならない」という責任をハイパースケーラー(ハイパースケールデータセンターを運営するクラウドベンダー)に課すものだ。ユーザー企業がクラウドベンダーに求める情報にも変化がある。
Gartnerによると、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)発生以来、企業はサステナビリティへの投資を増やす傾向にあるという。Gartnerでリサーチバイスプレジデントを務めるエド・アンダーソン氏は、「ハイパースケーラーもこのトレンドを見過ごしていない」と語る。
「クラウドインフラやクラウドサービスを扱う大手ベンダーは、コンプライアンスや社会、環境などの課題に対し、劇的な変化を起こそうと模索している」とアンダーソン氏は語る。ハイパースケーラーは持続可能なインフラ運用やサービス提供への投資を強化しており、CO2を含む温暖効果ガスの“排出ゼロ”の達成を目指している。
2020年半ば以降、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft、Googleをはじめとするハイパースケーラーが、再生可能エネルギー使用に注力する計画を公式に発表する動きが顕著だ。同様の動きは、パンデミック中に成長を遂げたコロケーション(IT機器の設置スペースを貸すサービス提供形態)業界でも起きているという。
Gartnerはハイパースケーラーの今後の取り組みとして、CO2排出量の削減状況をユーザー企業が可視化するためのツール提供に注目している。ただしそうしたツールが充実してくるまでには、まだ時間がかかる見込みだ。
アンダーソン氏によると、ほとんどのクラウドベンダーがサステナビリティに関する方針を掲げている。一方でCO2排出量削減の目標達成に向けた戦略と進捗(しんちょく)は、クラウドベンダーによって大きく異なるのが実情だと同氏はみる。
サステナビリティ関連の数値を測定したり、それを改善したりするためのツールは発展途上の段階にあり、ユーザー企業が利用しやすい状態とは言い難いという。「クラウドサービスの使用状況がサステナビリティに与える影響を、ユーザー企業が完全かつ正確に評価することは困難だ」(アンダーソン氏)。
クラウドベンダーがサステナビリティ関連の情報公開に踏み切り、情報量を増やすことが、状況の改善につながる可能性があるとGartnerは見込む。
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