米国のHR TechベンダーDegreeは、従業員の「人工妊娠中絶手術のための旅費」を補助することを決断した。法的リスクがある中で、取り組みの実施を決めた同社CEO。その決断の背景とは。
2022年6月、人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた「ロー対ウェイド判決」を覆す判決を米国連邦最高裁判所が下した。幾つかの州で人工妊娠中絶手術を禁止にする動きが広がる中、企業の中には人工妊娠中絶を希望する従業員の支援に乗り出す動きがある。
HR Tech(人事とITの融合)ベンダーDegree(Latticeとして事業展開)の最高経営責任者(CEO)ジャック・アルトマン氏は、従業員に向けて業務連絡をした。「従業員が必要とする医療行為が居住州で禁じられている場合、該当する医療行為を受けるための旅費を会社が補助する」といった内容だ。
Degreeが拠点を置く米国カリフォルニア州では、人工妊娠中絶は合法だ。だが同社の広報担当者によると、同社従業員の約10%は、連邦最高裁判所が下した判断に伴うトリガー条項(事前に決められた条件を満たすことで発動する条項)で人工妊娠中絶を禁止にした州や、人工妊娠中絶を規制する法律を審議している州に居住している。従業員がどの州に居住しているかは、「保護対象の情報だ」との理由で同社は明らかにしていない。
米国連邦最高裁判所の判断がもたらす波及効果を考えると、Degreeが従業員の居住州に関する情報を公表しないことは、法的なリスクを避けるために正当である可能性がある。例えばテキサス州では、過去に存在した人工妊娠中絶の禁止法案が復活する可能性がある。同州の州議会議員グループは、州外で人工妊娠中絶手術を受けるための旅費を補助する企業の幹部に対して、法的な措置を求めている。
アルトマン氏は従業員に向けた業務連絡で、自身の家庭に2人目の子どもを授かったことに触れ、次のように続けた。
多くの家庭にとってそうであるように、私たちにとっても出産への道のりは極めて個人的なことでした。ここに至るまでの決断は、私たちの人生において非常に微妙でプライベートなものです。そうあるべきだと私たちは強く思っています。これは女性の身体と健康と主体の問題であり、そのような選択を家庭と医師ではなく政府がするという考えは、私たちの多くにとって極めて不穏なものです
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