米国で、人工妊娠中絶を憲法上の権利として認める過去の判例が覆された。こうした中、希望する従業員に「人工妊娠中絶を禁止していない州への旅費」を支払うと表明する企業がある。米国企業の動きを紹介する。
米国連邦最高裁判所は2022年6月、人工妊娠中絶を憲法上の権利として認めた「ロー対ウェイド判決」を覆す判決を下した。それに伴い、州によっては人工妊娠中絶手術の禁止に乗り出した。労働・雇用問題に詳しい弁護士で、法律事務所MLE Lawの創立者兼パートナーのマイケル・エルキンス氏は、企業は人工妊娠中絶に関する各州の動きを「入念に調べておく必要がある」と話す。
まず企業は、州の規定に「他者の人工妊娠中絶を手助けすることに対する罰則」がないかどうかを確認しておく必要があるとエルキンス氏は指摘する。そのような罰則がある場合は、どのような行為が手助けと見なされ、どのような処分が発動されるのか調べておく必要がある。
企業は人工妊娠中絶手術のための旅費の補助を、一般的な医療費補助の一部として分類するなどの自衛策を講じることができる。だが人工妊娠中絶禁止を推進する州では問題が発生する可能性がある。例えばロー対ウェイド判決が覆される以前に、人工妊娠中絶手術のための旅費の補助金を支給していなかった企業に対して、各州は一貫性の欠如を指摘するといった手段で「企業に揺さぶりをかけてくる可能性がある」(エルキンス氏)。
仮に訴追される恐れがあるとしても、電気自動車(EV)メーカーのTeslaは、従業員に人工妊娠中絶手術の補助金を支給している。Amazon.com、Microsoft、Salesforce、Starbucksといった大手IT企業なども同様だ。これらの企業は「人工妊娠中絶の禁止に動く州に多くの従業員を抱えており、州議会へのロビー活動に膨大な費用を投じている」と、人権問題に詳しい弁護士のノリーン・ファレル氏は指摘する。ファレル氏は法律事務所Equal Rights Advocatesの代表を務める。
人工妊娠中絶手術を補助する大手IT企業を「人工妊娠中絶禁止を推進する州が追及するかどうかは分からない」とエルキンス氏は語る。調査会社GartnerのHR(人事)関連リサーチ担当プリンシパルのクリスタル・スタイロン氏は、「人事部門は、他社の人事部門の動きを見て判断したいと考えている」と話す。
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