「テレワークをやめさせたい人」は本当に大事なことを捨てようとしていないか?Appleのテレワーク廃止論争【後編】

Appleをはじめ、さまざまなIT大手がオフィス出社の再開に踏み切っている。経営陣は対面業務ならではの良さを理由にオフィス回帰を重視するが、その見込みは本当に正しいのだろうか。

2022年10月17日 08時15分 公開
[Mike GleasonTechTarget]

 Appleがオフィス出社の義務化に踏み切ろうとしている背景には、テレワークがイノベーションの支障になるという同社経営陣の考えがある。こうした考えを抱く企業は同社だけではない。

テレワークを捨てる人が“気付かずに捨てているもの”

 「テレワークでは自発性が下がり、意思決定が遅くなる」。金融サービス企業JPMorgan ChaseのCEOであるジェイミー・ダイモン氏はこう考えていると、金融ニュースメディア「Yahoo! Finance」(Yahoo!が運営)は2022年8月に公開した記事で伝えた。

 電気自動車(EV)メーカーTesla(テスラ)のCEOであるイーロン・マスク氏は2022年5月に、従業員に出社再開を命じた。同社が適切な製品を作るには、従業員が出社する必要がある、という考えに基づく判断だとみられる。

 「有名企業のCEOがオフィスワークを要求したとしても『オフィスの中では有意義な交流がめったに起こらない』という事実は変わらない」。University of Texas(テキサス大学)の経営学教授アンドリュー・ブロドスキー氏はこう指摘する。

 企業はテレワークがもたらすワークライフバランスと生産性の利点を放棄するよりも「インスピレーションを刺激する新しい方法を探す方がよい」とブロドスキー氏は主張し、次のように続ける。「企業は古い働き方にこだわるあまり、失ったものを過大視している。テレワークとともに大切なものまで捨て去ってしまってはいけない」

TechTarget発 先取りITトレンド

米国TechTargetの豊富な記事の中から、最新技術解説や注目分野の製品比較、海外企業のIT製品導入事例などを厳選してお届けします。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

From Informa TechTarget

お知らせ
米国TechTarget Inc.とInforma Techデジタル事業が業務提携したことが発表されました。TechTargetジャパンは従来どおり、アイティメディア(株)が運営を継続します。これからも日本企業のIT選定に役立つ情報を提供してまいります。

ITmedia マーケティング新着記事

news132.jpg

生成AIを業務で使わないマーケターはもはや3割以下 御社はどうする?
HubSpot Japanが日本で実施した調査によると、日本のマーケターの8割以上が従来のマーケ...

news168.jpg

新富裕層の攻略法 「インカムリッチ」の財布のひもを緩めるマーケティングとは?
パワーカップルの出現などでこれまでとは異なる富裕層が生まれつつあります。今回の無料e...

news166.jpg

ブラックフライデーのオンラインショッピング 日本で売り上げが大幅に増加した製品カテゴリーは?
Criteoは、日本国内のブラックフライデーのオンラインショッピングに関する分析結果を発...