Appleをはじめ、さまざまなIT大手がオフィス出社の再開に踏み切っている。経営陣は対面業務ならではの良さを理由にオフィス回帰を重視するが、その見込みは本当に正しいのだろうか。
Appleがオフィス出社の義務化に踏み切ろうとしている背景には、テレワークがイノベーションの支障になるという同社経営陣の考えがある。こうした考えを抱く企業は同社だけではない。
「テレワークでは自発性が下がり、意思決定が遅くなる」。金融サービス企業JPMorgan ChaseのCEOであるジェイミー・ダイモン氏はこう考えていると、金融ニュースメディア「Yahoo! Finance」(Yahoo!が運営)は2022年8月に公開した記事で伝えた。
電気自動車(EV)メーカーTesla(テスラ)のCEOであるイーロン・マスク氏は2022年5月に、従業員に出社再開を命じた。同社が適切な製品を作るには、従業員が出社する必要がある、という考えに基づく判断だとみられる。
「有名企業のCEOがオフィスワークを要求したとしても『オフィスの中では有意義な交流がめったに起こらない』という事実は変わらない」。University of Texas(テキサス大学)の経営学教授アンドリュー・ブロドスキー氏はこう指摘する。
企業はテレワークがもたらすワークライフバランスと生産性の利点を放棄するよりも「インスピレーションを刺激する新しい方法を探す方がよい」とブロドスキー氏は主張し、次のように続ける。「企業は古い働き方にこだわるあまり、失ったものを過大視している。テレワークとともに大切なものまで捨て去ってしまってはいけない」
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