研究機関が実施した試験は、「SIMカード」と「eSIM」に関して、今後のスマートフォン利用に大きく影響する可能性のある違いを示した。その差とは。
通信サービスの加入者情報を記録する「SIM」(Subscriber Identity Module)。SIMには、小型のカードの形状をした「SIMカード」と、端末に組み込むタイプの「eSIM」がある。今後のスマートフォン利用の潮流を考えた場合、どちらのSIMを使うべきなのか。
半導体関連の研究所Fraunhofer Institute for Reliability and Microintegration IZM(Fraunhofer IZM)と、セキュリティ技術を開発する企業Giesecke+Devrient(G+D)は、SIMカードとeSIMに関するライフサイクルアセスメント(LCA)を実施した。LCAは、環境負荷を評価する試験だ。Fraunhofer IZMとG+Dは、LCAの標準規格「ISO 14040」と「ISO 14044」に準拠して評価を実施した。評価には外部の審査委員が加わった。
このLCAの結果をまとめたレポートで、Fraunhofer IZMとG+Dは、環境負荷の低さという点ではeSIMがSIMカードよりも優れていることを示した。試験では1人のユーザーがSIMカード1枚またはeSIM1枚でモバイルネットワークを使う場合の、それぞれの環境負荷を測定。原材料の製造や輸送の他、廃棄に至るまでの使用を含めて調査した。評価の条件として、スマートフォンの一般的な機能の利用や、3年間の使用年数を加味している。
通信事業の業界団体GSM Association(GSMA)が2022年7月に公開した調査結果によると、世界中で260社の通信事業者が、スマートフォンでeSIMを利用する商用サービスをすでに提供している。この調査は、2030年までにeSIMは全スマートフォン利用の76%を占めるまでに拡大するという予測を示した。
SIMカードに取って代わる新技術として、eSIMの開発が米国で進展している。例えば2022年に米国でAppleが発売したスマートフォン「iPhone 14」は、SIMカードのスロットを搭載していない(日本国内版はSIMカードスロットを搭載)。今後は他のスマートフォンベンダーも、この動きに追随すると考えられる。
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