日常的に利用しているクラウドサービスのコミュニケーションツールで障害が起きた場合、従業員が業務遂行のために代替ツールを使おうとする可能性がある。こうした代替ツールには“あるリスク”が隠れている。
2023年1月、ユニファイドコミュニケーション(UC)システム「Microsoft Teams」など、Microsoftのサブスクリプションオフィススイート「Microsoft 365」のクラウドサービス群が一時的に利用できなくなった。エンドユーザーが日常的に利用するクラウドサービスの障害は、幅広い影響を及ぼす。特に注意が必要なのは、障害で使えないクラウドサービスの代替ツールがもたらす、“あるリスク”だ。
「ユーザー企業が契約しているコミュニケーションツールが障害で使えなくなると、エンドユーザーはコンシューマー向けのコミュニケーションツールを使い始める可能性がある」。ビジネスチャットツールベンダーNew Vector(Elementの名称で事業展開)の共同創業者であるマシュー・ホジソン氏は、こう指摘する。「結果として、ユーザー企業のデータが危険にさらされる可能性がある」(マシュー氏)
ビジネスチャットツールに大規模なサービス停止が生じた場合、やりとりは面倒になるものの、エンドユーザーはメールを代替策として活用できる。だが今回の障害は、状況が違った。メールにも障害が起きたからだ。この場合、エンドユーザーは急場しのぎの策として、Meta Platformsの「WhatsApp」といったコンシューマー向けコミュニケーションサービスを利用する可能性がある。そうなると「ユーザー企業は、データの保管やアクセスの方法を管理し切れなくなる」とホジソン氏は説明する。
「機能が豊富なコミュニケーションツールに依存すると、障害で使えなくなったときに重要な会話が難しくなる」とホジソン氏は話す。冗長構成を用いたクラウドサービスを利用したり、複数ベンダーのクラウドサービスを併用したりすることで「コミュニケーションツールの『単一障害点』化を回避し、エンドユーザーを混乱から守ることができる」(同氏)。
次回は、Microsoft 365の障害と同時期にMicrosoftが発表した、同社の人員削減計画の背景を説明する。
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