企業によるDXの取り組みが拡大するにつれ、「HDDの時代は終わる」と見込むピュア・ストレージ。その鍵を握るのは「サステナビリティ」にSSDがもたらすインパクトの大きさだ。
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)に伴うデータ利活用の拡大や人工知能(AI)技術の普及により、データ量の爆発的な増加が見込まれている。環境省が野村総合研究所(NRI)に委託して作成したレポート「令和3年度データセンターにおける再エネ活用促進に係る調査検討委託業務成果報告書」によると、2018年の国内総消費電力量(896.2テラワット時)のうち、データセンターの消費電力量が占める割合は約1.5%だった。この割合は、2030年には10%を超える可能性があるという。
このような状況を踏まえ、ストレージベンダーPure Storageの日本法人ピュア・ストレージ・ジャパンは2023年7月20日、サステナビリティ(持続可能性)とITインフラに関する説明会を開催。同社のオールフラッシュストレージ(SSDのみを搭載するストレージアレイ)製品が企業のサステナビリティ推進に貢献する道筋を説明した。
Pure StorageのCTO(最高技術責任者)ロブ・リー氏は、同社製品のサステナビリティにおける優位性を説明した。リー氏の説明によると、同社のオールフラッシュストレージは、競合他社のオールフラッシュアレイと比較して最大80%、HDDと比較すると80%以上、消費電力量や占有スペースを削減できる。「競合他社のオールフラッシュアレイと比較して、製品寿命が伸びることで電子廃棄物を最大85%削減できる他、製品の信頼性(システムが提供できるサービスの継続性)が高まることで管理に必要な人的コストやSSDのスペア部品数削減につながり、運用コストを半減できる」とコスト面でのメリットも説明した。
ピュア・ストレージ・ジャパン代表取締役社長の田中良幸氏は、国内のDX推進におけるサステナビリティ関連の取り組み状況をまとめた調査報告書「日本のDX推進におけるサステナビリティの現状およびITの課題に関する調査レポート」の内容を紹介した。調査は、売上高1000億円以上の企業に勤め、サステナビリティ業務の他、ITか通信、DX関連サービスのいずれかに関与する20~69歳の会社員と役員220人を対象に、調査会社マクロミルが2023年3月に実施した。
「DX推進においてサステナビリティは優先事項」と回答したのは37.7%と、大半の企業にとってサステナビリティはまだ重要な位置付けではない状況が明らかになった。他にも、「サステナビリティ目標を検討する際、技術やITインフラに関する取り組みが占める割合や優先度は低い」と回答したのは42.7%と、「欧米の86%と比較してかなり低い結果だ」と田中氏はコメントする。
一方で、「DX推進に伴うデータの拡大や、電力料金の上昇といった課題が出ている中で、国内でも確実にサステナビリティへ目を向ける動きが広がっている」と田中氏は説明。「当社製品の省電力性からも分かる通り、企業のサステナビリティ推進、ひいてはDX推進にストレージがもたらし得る影響は大きい」と話す。コスト面におけるSSDの競争力も高まりつつあることから、「HDDの時代は終わるだろう」と同氏は強調する。
Pure Storageの国内一次代理店である東京エレクトロンデバイスで執行役員常務を務める宮本隆義氏は、「顧客や取引先から、製品における環境負荷物質の含有調査依頼といった、サステナビリティ関連の要求を受ける機会が増えている」と、サステナビリティ推進のニーズが高まりつつある状況を指摘。「今後企業の扱うデータが増えるのは間違いなく、特にストレージへの考慮が必要だ」と話す。
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