SUSEはアジア太平洋地域における事業拡大に向けて、SAPのERPを切り口としたビジネスに期待を寄せている。どういうことなのか。SUSEとSAPの密接な関係を探る。
企業向けLinuxディストリビューション(配布用パッケージ)ベンダーにとって、SAP製品に関連するビジネスは重要な柱だ。ユーザー企業が進めるSAP製品のクラウド移行は、SUSEのビジネスにどのような影響をもたらすのか。同社のトーマス・ディ・ジャコモCTO(最高技術責任者)と、APAC(アジア太平洋地域)担当ゼネラルマネジャーのジョセップ・ガルシア氏に聞いた。
―― SUSEはSAPとのパートナーシップでよく知られています。SAPは同社ERP(統合基幹業務システム)のクラウド版「SAP S/4HANA Cloud」の販売に力を入れています。SUSEにはどのような影響がありますか。
ディ・ジャコモ氏 ERPのクラウド移行は、当社にとって大きなチャンスだ。当社のLinuxディストリビューションは、SAPのオンプレミス版のERPでは広く採用されてきた。SAP S/4HANA Cloudへの移行は当社にとって新規ビジネスになる。SAP S/4HANA Cloudへの移行が増えれば増えるほど、当社の売り上げも上がる。SUSEはMicrosoftやAmazon Web Services(AWS)、Googleなど主要クラウドベンダーとも密な関係を築いている。ユーザー企業のクラウド移行は総合的に当社のメリットにつながる。
ERPのクラウド移行プロジェクトの大半は複雑だ。この分野で当社と協力しているTata Consultancy Services(TCS)、Cognizant Technology Solutions、Accentureなどのシステムインテグレーター(SIer)が移行を推進している。クラウドにおけるSAPの成長領域は、当社のLinuxディストリビューション「SUSE Linux Enterprise Server」(SLES)で開発されたSAP S/4HANAにある。当社はSAP S/4HANAがLinuxで適切に動作するよう、Linuxカーネル(OSの中核部分)の機能開発に注力してきた。
ガルシア氏 日本や中国のパートナー企業からは、MicrosoftのOS「Windows Server」とデータベース管理システム「SQL Server」でSAPのERPを稼働させているユーザー企業が目立つという報告を聞いている。そうしたユーザー企業にとっても、クラウド移行の際はSLESを使ったSAP S/4HANAが選択肢になる。当社は、日本や中国を中心としたアジア太平洋地域(APAC)で大きな成長を見込んでいる。
長期的には、APACでの事業拡大は通信会社や製造業者、金融サービス企業がけん引することになるとみている。米国で進んでいるクラウド移行を見れば、APACでも当社にとっての大きなチャンスが来ることは間違いない。
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