環境に配慮した企業運営において、AIツールに関するCO2排出量に着目することは重要だ。企業が知っておく必要がある指標やCO2排出の仕組みにはどのようなものがあるのか。
人工知能(AI)技術の可能性を企業が探る中で、AI技術が環境に与える影響が問題視されている。AIチャットbot(AI技術を活用したチャットbot)「ChatGPT」など、高度なAIモデルを基にしているAIツール(AI技術を活用したツール)は特に、開発・運用に際して膨大な量の電力を消費する。こうした状況は、温室効果ガスの排出量と、除去量および吸収量が等しい状態である「ネットゼロ」を目指す上での妨げになりかねない。この可能性を軽減するために、企業は何に着目すべきなのか。
温室効果ガスの排出源や排出方法の分類である「スコープ」には、以下の3種類がある。企業は業種を問わず、スコープ3の排出量を徹底的に理解しておかなければならない。
企業がAIツールを導入する際は、特に二酸化炭素(CO2)排出量の観点から、直接的および間接的な環境への影響を考慮することが不可欠だ。スコープ2の排出量はビジネスや業務の電力消費に関連するものとなる。AIツールが稼働するコンピュータは、GPU(グラフィックス処理ユニット)が相当な量の電力を消費することになる。つまりAIツール自体がアルゴリズムやハードウェアを最適化してエネルギー効率的に優れているとしても、稼働するシステムは膨大なCO2を排出する要因になることを意味する。
そこで重要になるのが、一定の電力を生み出すために排出するCO2排出量が地域ごとに異なる点だ。石炭や天然ガスのような化石燃料から、風力や太陽光のような再生可能エネルギーまで、地域によってさまざまな発電方法がある。エネルギー源によって、単位電力の生産過程で排出するCO2の量(排出原単位)は大きく異なる。
企業がAIツールを活用する機会は、今後ますます増える見込みだ。企業は自社の活動だけではなく、サプライチェーンを含めてカーボンフットプリント(活動を通じて排出されるCO2量)を理解し、持続可能性の推進を妨げない意思決定を下す必要がある。
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