「1クリック分のCO2排出量」を減らすことがとても大事な理由Webサイトの「エコ基準」【後編】

「Webサイトを含めあらゆるデータの背後には、それをホストするサーバがあり、膨大な量の二酸化炭素を排出している」と専門家は指摘する。現実的な「インターネットの省エネ化」とは。

2022年03月31日 08時15分 公開
[Caroline DonnellyTechTarget]

関連キーワード

環境保護


 インターネットの「省エネルギー化」が、二酸化炭素(CO2)排出量の低減にどれほどの効果をもたらすのか。英国を拠点とする環境保護団体Eco-Friendly Web Alliance(EFWA)の見解を紹介する。

その「1クリック」がCO2を排出する

 平均的なWebサイトが排出するCO2の量は、EFWAの計算によれば

  • 2グラム

を超える。1000万件のWebサイトが、同団体のWebサイト向けエコ(環境保護)基準「Eco-Friendly Website Accreditation」の認定基準を満たしたら、Webサイトなどインターネットの利用によって発生するCO2の平均量を年間50キロ削減できることになるという。同団体はこの独自データに基づき、インターネットの利用によって排出されるCO2量を2030年までに50万トン削減することを目標に掲げている。

 EFWAの認定を受ける企業にとって、再生可能エネルギーを動力源にする「気候に配慮した」Webホスティング企業と組み、Webサイト運営全体における環境保全への配慮をさらに高めることは検討の価値がある。

 EFWAのチェアパーソンを務めるシェーン・ヘラス氏によれば、こうした活動は気候変動のペースを緩めようとする世界的な取り組みに「大きく」貢献する可能性がある。インターネットは一見、何も残留物を出さず、目に見える排出物のないクリーンなものだと思いがちだ。だが「Webサイトも含め、あらゆるデータの背後にはそれをホストするサーバがあり、膨大な量のCO2を排出している」とヘラス氏は指摘する。月間数千ページビューのWebサイトがあるとしたら、1クリック当たりの消費エネルギーを減らすことで、CO2排出量の低減に大きな効果を発揮することができる。

 生活全般のデジタル化が進み、途上国の追い上げでインターネット利用が拡大するのに従い、消費水準は「さらに上昇する」とヘラス氏はみる。Webサイト運営者は「1ページビュー当たりのCO2排出量を1グラム未満に抑えることで、環境に配慮したWebサイトを構築できる」と同氏は説明。グリーンエネルギーに切り替え、自然再生や森林再生、環境再生型農業を通して年間排出量削減に貢献することで、気候に配慮したWebサイトを構築することも可能だと主張する。

Computer Weekly発 世界に学ぶIT導入・活用術

米国TechTargetが運営する英国Computer Weeklyの豊富な記事の中から、海外企業のIT製品導入事例や業種別のIT活用トレンドを厳選してお届けします。

ITmedia マーケティング新着記事

news058.jpg

アドビ、Adobe Firefly機能搭載の「Adobe Express」モバイル版アプリを一般提供
アドビは、生成AI「Adobe Firefly」の機能を利用できる「Adobe Express」モバイル版アプ...

news141.jpg

2度あることは3度あった GoogleのサードパーティーCookie廃止再延期にアドテク各社がコメント
Googleは2024年末までに完了する予定だったWebブラウザ「Chrome」でのサードパーティーCo...

news148.jpg

天候と位置情報を活用 ルグランとジオロジックが新たな広告サービスを共同開発
ルグランとジオロジックが新たな「天気連動型広告」を共同開発した。ルグランが気象デー...