「BYOD」(私物端末の業務利用)は、BYODを認めていない企業を含めて、あらゆる企業にとって無視できない存在になりつつある。その理由と、企業が取るべき対策を解説する。
PCやスマートフォンといった業務端末の調達や管理のコスト削減、利便性の向上といったメリットを見込んで、企業が「BYOD」(私物端末の業務利用)の方針を取り入れる動きが広がってきた。その一方でBYODに関心を示さなかった企業は少なくないが、今後はあらゆる企業にとってBYODが無視できない存在になる可能性がある。その理由を2つの視点で考える。
企業がBYODを認めていなくても、私用端末を業務で使用する従業員は存在する。端末を業務用と私用で分けて管理する手間がなくなる他、業務で緊急事態が発生した際の連絡手段として使用できるなど、BYODにはメリットがあるからだ。
BYODがもたらすリスクについても考慮する必要がある。BYODの端末から社内のシステムやデータにアクセスする場合、端末が盗難に遭った際の情報漏えいリスクは強まる。端末のアフターサービスを手掛けるAsurionによると、2022年には約410万台のスマートフォンが盗難や紛失の事態に陥っている。攻撃者が端末のデータにアクセスできるようになると、アカウントのパスワードを変更したり、非公開の通信を閲覧したり、さらには権限を不正に昇格したりでき、大惨事を招きかねない。企業がBYODを認めていない場合、対策は個人に委ねられることになるため、リスクの低減は簡単ではない。
こうした懸念を踏まえると、ほとんどの従業員は企業が定めるBYODポリシーに従いたいと考える。だが企業におけるBYODポリシーの策定は進んでいるとは言い難い。米国の調査会社Clutchが2018年に公開したブログエントリ(ブログの投稿)によると、「BYODが規制の対象となっている」と回答した従業員は全体の半数に満たない40%だった。
私用端末で業務データを取り扱う際の安全なポリシーを企業が策定すれば、従業員は安心してBYODを実践できるようになる他、セキュリティリスクの軽減につながる。
端末の購入数を減らしたり、端末のライフサイクルを長くしたりする取り組みは、サステナビリティ(持続可能性)に良い影響をもたらす。組織はBYODを採用することで、二酸化炭素(CO2)排出量の削減を実現できる。
当然ながら、BYODを採用しても端末の充電に必要な電力や、ネットワーク利用によるCO2排出は避けられない。一方で、2022年にメディア企業Forbesが発表した記事によると、スマートフォンのライフサイクル全体におけるCO2排出量の95%は初期段階に発生し、その大部分は端末の製造と出荷の際に発生している。
私用端末を既に持っている従業員にさらに端末を支給することは、CO2排出量を大幅に増加させる要因になる。CO2排出量の削減または抑制を模索している企業にとって、BYODの導入は選択肢の一つになる。
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