避けては通れない「BYOD」【前編】
「BYOD」の禁止より“解禁”を検討すべきなのはなぜ?
公式か非公式かにかかわらず、私物端末の業務利用(BYOD)が拡大している。企業はどのようなBYODポリシーを検討すればいいのか。4つのポイントを紹介する。
企業が公式に承認しているかどうかに関わらず、従業員による私物端末の業務利用(BYOD)は広がっている。データの安全性を重視する企業は、厳格なデータ保護ポリシーを策定し、業務用端末と個人用端末を明確に分ける傾向にある。一方で従業員は利便性を優先し、ポリシーを無視して非公認のBYODを実践している可能性がある。
非公認のBYODはさらなるリスクを招きかねないため、何らかの対策を講じることが企業にとって急務だ。BYODを公式に導入することも一つの手だ。本稿は、企業がBYODポリシーを策定することで得られる4つのメリットを紹介する。
1.ハードウェアの導入コスト削減
BYODのメリットの中でも特に数値化しやすく分かりやすい効果が、ハードウェア導入コストの削減だ。BYODでは従業員が端末購入コストを負担することになるが、従業員の利益を大きく損なうものではない。大半の場合、従業員は既に所有するデバイスに業務用の機能を追加することになるからだ。
コスト削減効果は、導入時だけでなく更新サイクルの中でも感じることができる。端末の更新サイクルが3年の場合を考えてみよう。新しい端末の購入コストを浮かすことで、組織は1人当たり年間数百ドルを節約できる可能性がある。端末が故障した場合も、一般的にBYODでは従業員が対処する。端末買い換えコストの一部をBYOD給付金として従業員に還元することも検討できるだろう。
2.従業員の満足度向上
従業員の満足度向上もBYODがもたらすメリットの一つだ。満足度は定量化が難しいが、毎日2台のスマートフォンもしくはノートPCを持ち歩く必要がなくなれば、従業員の働きやすさは改善するはずだ。
セキュリティ系メディアCybersecurity Insidersのレポート「BYOD Security Report」では、BYODのメリットとして回答者の53%が「従業員の満足度向上」を挙げ、2位の結果となった。調査は2021年4月、セキュリティ専門家271人を対象にオンラインで実施した。
3.従業員の生産性向上
BYODを導入する大きなメリットが従業員の生産性向上だ。Cybersecurity Insidersのレポートでは、回答者の68%が「BYOD導入により従業員の生産性が向上した」と回答し、1位の結果となった。BYODが生産性向上につながる理由はさまざまだが、主な理由の一つに「端末の慣れ」の問題がある。普段からApple製品を使用しているユーザーにとってモバイルOS「Android」やクライアントOS「Windows」を搭載する端末は扱いづらい傾向がある。その逆も同じだ。Android端末のユーザーでも、Samsung製のデバイスからGoogle製のデバイスに切り替えることは簡単ではない。
4.職場における連携体制の強化
私用端末を業務に利用している従業員は、比較的いつでも仕事の資料や社内システムにアクセスしやすいと言える。業務用端末と私用端末を分けている場合、業務時間外は業務用端末の電源を切っていて連絡が取りにくい可能性がある。
BYOD導入の目的は、従業員に業務時間外でも仕事やメールチェックをさせることではない。一方で、即時承認が必要な場合や緊急事態が発生した場合は、従業員とすぐに連絡を取れることが重要だ。例えば、経営幹部が締め切り間際になって予算を承認する必要がある場合や、データ漏えいが発生した場合を考えてみよう。経営幹部と直接連絡が取れる手段が確保されていれば便利かつ安心だ。
上述したBYODの利点は、COPE(業務端末の私的利用)でも実現可能だが、業務用端末をメイン端末として使用する場合に限られる。
中編も、引き続きBYOD導入が企業にもたらすメリットを紹介する。
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
TechTarget発 世界のインサイト&ベストプラクティス
米国TechTargetの豊富な記事の中から、さまざまな業種や職種に関する動向やビジネスノウハウなどを厳選してお届けします。
この記事の著者
関連記事
新着ホワイトペーパー PR
-
製品資料
[株式会社うるる] 「入札市場」攻略ガイド:効率的に落札するためのポイントを徹底解説 -
製品資料
[株式会社うるる] 入札情報に特化した「販路拡大」「効率化」のためのサポートツールとは? -
市場調査・トレンド
[株式会社うるる] 公共入札に成功する企業と失敗する企業の「5つの違い」 -
製品資料
[日本ビジネスシステムズ株式会社] 専門家が教える、Microsoft 365の「テナント統合/分離」を成功に導く秘訣 -
製品資料
[rakumo株式会社] Microsoft 365での情報埋没を防ぐ、社内ナレッジを資産化する情報ポータル活用
こんなメディアも見られています
TechTargetジャパンに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
ベンダーコンテンツ PR
From Informa TechTarget
SpecialPR
アクセスランキング
-
1
半数がブルーカラー転向を視野に? ベテランエンジニアを追い込む“54歳の壁”
-
2
PHP脆弱性「PHP2Shell」で2260万件に影響 情シスの緊急チェックリスト
-
3
「Microsoft 365」が乗っ取られる MFAを破る“本物の画面”の恐怖
-
4
「テザリング依存」に潜む落とし穴 “遅いVPN”を解消するネット構築術
-
5
AI導入が失敗する“真犯人”は現場のマニュアル 7割が陥る「標準化」のわな
-
6
「Wi-Fi 7」経由でWindowsが乗っ取られる? 最高権限奪取の恐怖
-
7
なぜ「Gemini 4 Argon」は出遅れたのか? Googleが狙う“逆転のシナリオ”
-
8
「Windows」の不要なファイルを安全に消して容量を空ける方法
-
9
Claude利用8割のGMO、AI人材の評価軸が「トークン管理」に変わった
-
10
ライオンが脱レガシーシステムのパートナーに「Google Cloud」を採用した理由
ホワイトペーパーランキング PR
-
1
AI駆動攻撃にどう対抗する? 超速の攻撃からエンドポイントを保護する方法
-
2
2026年のサイバーセキュリティには何が必要か? 最新データに学ぶ傾向と対策
-
3
経験豊富な即戦力人材に直接アプローチできる、「攻めの採用」への転換術
-
4
「IT史に名を残すシステム障害」8選
-
5
最速72分でデータが流出? 最新の脅威トレンドや侵入手法から分かった防衛策
-
6
不審メールの経路や見せ方に変化? 2026年夏の3事例から見えた動向と対処方法
-
7
Microsoft 365のメールセキュリティ、3つの“死角”と追加で検討すべき対策とは
-
8
AI駆動開発のスピードと安全性を両立 「品質・セキュリティ管理」の実践ガイド
-
9
HDDを使わない「SSDオンリー」が無謀なのはなぜ?
-
10
「標的型攻撃メール」事例・サンプル集
TechTargetジャパン SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
TechTargetジャパンをフォロー