出世を目指すエンジニアは、そのゴールをCIOやCTOに設定するのがいいのか、それとも企業の経営にも関与するために取締役まで目指すのがいいのか。取締役を目標にするのであれば、参考になる5つのポイントがある。
将来、企業の取締役まで昇進したいと考える人は少なくないだろう。取締役になることそれ自体に達成感があるし、経営戦略や業績を検討する中心にいることには魅力がある。責任とやりがいがあり、役員報酬を得ることもできる。
専門職であるエンジニアの場合、順調に昇進できたとしても、取締役に登用されるとは限らない。筆者が在籍するITコンサルティング企業Nash Squaredは2022年7〜10月に、82カ国のIT部門の責任者1785人を対象に調査を実施した。調査結果を基に公表したレポート「Digital Leadership Report 2022」は、取締役会に参加しているCIOが全体の約3分の2にとどまる点に触れた。
CIOやCTO(最高技術責任者)、最高デジタル責任者(CDO)といったIT分野の管理職、あるいはキャリアのより早い段階から役員を目指すIT分野の専門職が、取締役に昇進するチャンスをつかむにはどうすべきなのか。Nash Squaredと、その系列会社で技術開発を担うNash Techで働く筆者の経験を基に、エンジニアから取締役への昇進を実現するためのポイントを5つにまとめて紹介する。
CIOといったIT分野の上級職としての目覚ましい実績が認められて、取締役に抜てきされる場合がある。CIOの役職が取締役となっている企業に転職することも選択肢の一つだ。その場合は、転職先の企業は転職前よりも小規模か知名度が低くなる傾向がある。IT系のスタートアップ(創業間もない企業)といったITに特化した企業も選択肢になるだろう。そのチャンスを得たときは、企業に対して自分の価値を証明し、困難な課題に立ち向かうことができる能力があることを示す必要がある。
取締役は複数の部門を統率するリーダーであるだけでなく、戦略家でもある。ITが事業計画や事業目標に果たす役割を理解した上で、戦略的な思考をする必要がある。事業の全体像を理解し、他の従業員を巻き込み、企業に競争力をもたらす能力も求められる。業務を通じて、自分が「技術者」以上の成果を創出できることを証明しよう。
昇進のチャンスをつかむためには、昇進に関わる上司に張り付き、こびへつらうことが必要だと考える人がいる。他者と良好な関係を維持することが大切なのは確かだ。しかし自分の見解や視点を持っていることの方が印象はより良くなると筆者は信じている。ごまをするのではなく、異を唱える勇気を持つことや、自分の見解を裏付けるエビデンスをそろえ、業務に集中することを重視しよう。こうした点を重視する人物は、有能な取締役にとっては、駆け引きが好きな人物よりも優れた人物に見えることだろう。
キャリアを通じて自分を高めることや学習を継続すること、自分の付加価値を高める経験やチャンスを追い求めることは大切な取り組みだ。MBA(経営学修士)プログラムに通うのも一つの手だ。MBAの取得は取締役になるための前提条件というほどではないが、経営者の視点で物事を見る上では役に立つ。経営者としての考え方や知識が身に着く上に、学生同士や教員との間でネットワークができ、将来経営者を務める上で役立つ。
有給かボランティアかにかかわらず、非業務執行取締役の役職に就くことも貴重な経験になる。取締役会とはどういう場所なのか、雰囲気を理解することにつながるからだ。CIOとしての業績を俯瞰(ふかん)する機会にもなり得る。時間をそれほど掛けずに強力な洞察を得ることができる上に、取締役会での信頼性が高まる可能性もある。心から信頼できる人と友好な関係を築き、その人に自分を紹介してもらえるようにすることも大切な取り組みの一つだ。
他者が閲覧する自分のプロフィールを充実させることに時間を割くことも有意義な活動の一つだ。日々の業務に集中することも大切だが、自分は他者からどう見られているのか、自分の氏名を検索するとどんな内容がヒットするのかなども軽視しない方がよい。以下のような取り組みを重ねることで、特定の分野でエキスパートと見なされるだけでなく、キャリア形成に肯定的な影響をもたらす可能性がある。
取締役への昇格にはさまざまな要因が関わる。運もその一つだ。ちょうど良いタイミングでちょうど良い場所にいたから、チャンスが巡ってくることもある。懸命に仕事をし、他者に貢献していたら昇進できることになったという場合もあるだろう。
必ず昇進したいのであれば、目覚ましい成果を出すことが大切であり、そのためには一生懸命働くことが必要だ。忍耐も大切なポイントの一つだ。昇進するまでにはある程度の時間が掛かることもある。伝統的な価値観を持った組織やIT系以外の企業の場合、取締役会を構成するのは依然として50代以上の年齢の人々であることは珍しくない。性別としては男性に偏りがちだ。
取締役になるためのチャンスを最大限に高める方法を一つ紹介する。メンターを見つけることだ。自分と同じようなキャリアを歩んできた人なら、自分が受け継ぐべき貴重な洞察を持っているため、キャリアを通じて目指す自分の在り方を一緒に考えてくれるだろう。
何よりも大切なことは、仕事を通じて自分が何を求めているのかを明確にし、自分らしく楽しむことだ。
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